著者
宇都宮 通子 五島 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 日本は、箸を使って食事をする文化圏に属している。近年、その箸の持ち方が個性化してきていると懸念されている。そこで、幼児・中学生・大学生の箸の持ち方の実態を探り、「伝統的な持ち方」をする人の割合が低下している理由を考察することを通して、箸の持ち方を決定する要因等を検討した。 【方法】 (1)中学生505人・大学生262人に対し、質問紙法による調査を行った。実施時期は、平成18年6月~9月、内容は、箸の持ち方・箸の持ち方の決定要因・箸の持ち方と作法・箸の持ち方と意識についてである。 (2)保育園・幼稚園に通園し、昼食時に箸を使用する1歳児クラスから5歳児クラスの幼児499名に対し、昼食での箸使用時の観察等により、箸の持ち方の調査を行った。実施時期は、平成18年6月~19年2月、内容は、箸の持ち方・持ち方の類型化・掌の長さ・箸の持ち方へ取り組む様子についてである。 【結果】 箸の「伝統的な持ち方」の割合は、5歳児が1割弱、中学1年生が6割弱、大学生が7割弱で、年齢が高くなるにしたがって増加した。また、向井・橋本(1986年)がおこなった20年前の調査と比較し、伝統型でも鉛筆型でもない、「その他の型」が増加したことが明らかになった。箸の「伝統的な持ち方」の習得には、心身の発達・教育(家庭教育・集団教育)・適切な道具「箸」の使用などが重要であることが示唆された。