著者
伊藤 直子 山崎 貴子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.106, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 食肉を軟化させるためには、熱帯植物であるパイナップルやパパイヤ、キウイフルーツなどを利用することが知られている。これらの植物の持つプロテアーゼは比較的熱安定性が高く、調理中に食肉のタンパク質に作用するため、食肉が軟らかくなる。しかし、これらの食材は独特の香りがあり、メニューが限定される。一方、プロテアーゼ活性が高いものの中にはキノコがある。キノコは食肉とも相性の良い食材であり、食物繊維などが豊富で旨味成分も多く含まれ、健康志向の高い食品である。そこで、まず我々は、様々なキノコを用いてプロテアーゼの検索を行い、さらに高いプロテアーゼ活性を有するキノコのプロテアーゼの特徴について基礎的な検討を行った。 【方法】 キノコは市販のエノキタケ、ヒラタケ、エリンギ、シイタケ、ナメコ、ブナシメジ、マイタケを用いた。キノコの重量の2倍量の水を加え、ホモジェネート後、ろ過して得られた抽出液を試料とした。この抽出液のカゼイン分解活性及び牛肉抽出液分解活性を調べた。これらの中より分解活性の高かったものを選び、最適温度、最適pH、熱安定性などを検討した。さらにプロテアーゼの性質を調べるため、部分精製を試みた。 【結果および考察】 35℃でプロテアーゼ活性を測定すると、最も活性が高かったのは、ヒラタケであった。しかしながら、50-60℃ではマイタケのほうが活性が高くなった。さらに、熱安定性をみると、最も安定であったものはマイタケであり、ヒラタケのプロテアーゼ活性が70℃1時間の保温で失活するのに対し、マイタケは70℃8時間でも活性が残存していた。また、最適pHは6-7であった。このことより、マイタケは肉軟化のために有効な食材であると推察された。
著者
今野 暁子 及川 桂子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.39-44, 2003-02-20
参考文献数
12
被引用文献数
2

The extent to which iron is eluted by different cooking methods from an iron pot during cooking was investigated. The addition of seasonings and the use of oil, as well as the effect of heating time,・were evaluated. The amount of iron eluted tended to be less with the use of oil, and was also affected by the seasoning added during cooking. In particular, the amount of iron eluted was markedly increased when vinegar was added. The amount of iron eluted also increased with increasing heating time. 78-98% of the iron that was eluted from the iron pot was in the form of easily absorbed ferrous compounds. Added vinegar resulted in 98% of the eluted iron consisting of ferrous compounds which exhibited outstanding stability. The results of this study demonstrate that the amount of iron supplied depended on the cooking method employed.
著者
中本 大介 上地 利征 戸塚 智子 丸山 潤 相羽 孝亮
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2019年度大会(一社)日本調理科学
巻号頁・発行日
pp.104, 2019 (Released:2019-08-26)

【目的】ポテトサラダの様な惣菜は日持ちが短い点が課題となっている。日持ちを延長するために一般的に加熱処理が用いられるが,タンパク質の変性や酸化等による風味劣化が生じるため惣菜本来のフレッシュ感が失われる。そこで加熱処理の代替として高圧で処理する手段が提唱されている。しかしながらポテトサラダを高圧処理した場合酢酸の酸味酸臭が損なわれるという新たな課題が発見された。ポテトサラダにおいてはフレッシュな食味が好まれ,酢酸による適切な酸味が求められる。そのため,酢酸以外の有機酸を併せて配合することにより高圧処理に伴う酢酸の酸味酸臭低減防止効果が得られるか検討した。【方法】調味液中の酢酸含有量に対してフィチン酸を様々な割合になるように配合量を調整した調味液と具材を和えたポテトサラダを作成し,袋詰めした状態で静水圧にて600MPa,3分間の高圧処理を実施した。それぞれのサンプルに対し処理前と処理後の風味比較を実施し,酢酸の酸味酸臭低減防止効果が得られているか確認した。【結果および考察】調味液中の酢酸に対して一定量のフィチン酸を配合することにより高圧処理に伴う酢酸の酸味酸臭の低減を抑制することが可能であった。仮説の一つとしてフィチン酸はキレート作用を有するため,高圧処理時の酢酸成分の変化を抑制している可能性が考えられる。この結果から同様の作用を持つ特定の有機酸を配合することにより日持ちが長く,かつ高圧処理時における酢酸の変化を抑制し適切な酸味を有するポテトサラダを得ることができると考えられる。また,当効果はポテトサラダに限らず具材と酢酸含有調味液を和えた惣菜に広く応用が可能な技術であると考えられる。
著者
沢村 信一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.231-237, 2011-06-05
参考文献数
18

現代の抹茶は,微細に粉砕され,滑らかな食感である。このように微細になったのは,茶の栽培技術や粉砕道具の発達を考慮すると近世になってからと考えられる。粉砕の面から抹茶を4期に分けて再現し,その粒度を測定し味の評価を行った。薬研で粉砕した2種類の抹茶は,粒度が粗く,ざらつきを感じた。味は,強い苦味を感じた。2種類の茶臼で粉砕した抹茶は,微細に粉砕され,滑らかな食感であった。味は,まろやかでうま味を感じた。
著者
中町 敦子 中村 恵子 四宮 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.151-158, 2004-05-20
参考文献数
12
被引用文献数
3

デュラム小麦のセモリナ粉100%使用,標準ゆで時間11分のスパゲティを用いて,ゆで時間を5~20分まで変えて試料を調製し,アルデンテについての官能評価,水分音量・ゆで歩留測定,拡大写真撮影,糊化度測定,破断試験を行い,以下の結果を得た。1)官能検査の結果,9,10,11分ゆでが「アルデンテである」と評価され,10,11分ゆでが「少し芯がある」,「好ましい」と評価されたので,好ましいアルデンテは10,11分ゆでであった。2)日本人のアルデンテの10,11分ゆでは,ゆで歩留2.3~2.4,水分含量63~64%に相当し,これらは中心の白い芯がなくなった状態で,糊化度は90%以上であった。イタリア人のアルデンテはゆで歩留2.1~2.2とすると,ゆで時間8~9分,水分含量約60%に相当し,中心にまだら状に白い芯が残り,糊化度は約80%であった。3)破断曲線を微分すると,ゆで時間の違いによってダブルピーク,肩,シングルピークの3つに分類された。日本人が好む10,11分ゆではシングルピークの形で,イタリア人が好む8,9分ゆでは肩がある形であった。破断曲線の微分はスパゲティの芯のゆで状態の指標になった。4)20分放置により,拡大写真撮影では中心部への水分移動が見られたが,糊化度はゆで直後と差が認められなかった。また破断曲線の肩はシングルピークになり,破断特性値は全体的に低下した。
著者
濟渡 久美 三浦 春菜 石川 伸一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.174, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】【目的】食品中の成分や調理により添加された調味料の濃度分布等は,風味や食感に影響を与える。しかし,食品中の成分や調味料等の濃度分布を可視化した研究は少ない。本研究では,ハイパースペクトルカメラとデジタルカメラを用いて,揚げ物における油や煮物における煮汁に関し,時間経過や保存温度の違いによる浸透程度の観察を行うことを目的とした。【方法】〈揚げ物〉実験試料として鶏ササミ,エビなど用い,脂溶性色素スダンⅣで染色した油で天ぷらを揚げた。揚げた試料は,冷蔵,常温,ホットショーケースで保存し,一定時間後に試料の中 心を包丁でカットし,断面をデジタルカメラで観察した。 〈煮物〉実験試料としてダイコン,コンニャクなどを用い,水溶性色素青色 1 号で着色した煮汁で煮物を作製した。沸騰してから 15分煮込んだ後,試料の中心を包丁でカット後,断面をデジタル カメラおよびハイパースペクトルカメラで観察した。また各試料を鍋ごと冷蔵,常温で保存後,試料の中心を包丁でカットし,断面をデジタルカメラおよびハイパースペクトルカメラで観察した。 【結果・考察】〈揚げ物〉すべての実験試料において油の浸透は衣までであった。揚げてから時間が経っても油は内部まで浸透しな かった。保存温度の違いは油の浸透に大きな影響を与えなかった。 〈煮物〉ハイパースペクトルカメラでの観察の結果,常温保存の 試料の方が冷蔵保存の試料より煮汁が浸透した。 食品中の成分の空間的配置や存在状態などを明らかにすること,テクスチャーや風味との関連性を交えて検討することにより,おいしさの物理的解明につながることが考えられる。
著者
島崎,とみ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, 2009-08-20

本報告は幕末の京都に住む商人の日記をもとに,暮らしと食を年中行事に絞り,その一端を明らかにしようとしたものである。その結果は,年中行事の中,最も大きな行事は正月であった。彼は日常に交際ある人々を大事に考え,飲食を共にしている。料理は豊富に魚介類が使われ,野菜類は京都近郊の物が多い。また,信仰にもとづく行事では,寺と神社で料理・食品の使い方が区別されていた。行事の扱い方には差違がみられる。敬重に行なわれるもの,簡略化あるいは遊興的に変化したものがあった。
著者
中津川 かおり 喜多 記子 植草 貴英 田代 直子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.62, 2004 (Released:2004-09-09)

[目 的]米粉を主原料とした麺には、中国のビーフンやベトナムのフォーが代表的である。一般に諸外国で普及している米粉麺は、アミロース含量の高いインディカ米を主原料とし、独特のコシと歯ごたえを有するのが特徴である。そこで、ジャポニカ米の中でもアミロース含量が約20%のうるち米を用いた米粉麺の調製条件の検討とテクスチャーの改良並びに米の第一制限アミノ酸であるリジンの補足効果を目的として実験を行った。<BR>[方 法]インディカとジャポニカ種の精白米各々を一晩浸漬後ミキサーで粉砕し、50%米粉液を調製した。これを5倍希釈し、攪拌加熱(75_から_90℃)したゾルの流動特性をE型粘度計により測定した。またDSC及び光学顕微鏡観察により糊化特性を比較検討した。次いで各々の50%米粉液を65_から_75℃で半糊化させ、製麺後、蒸し加熱し、力学的測定と官能評価を行った。さらにジャポニカ種の品質改良のためタピオカ澱粉を添加した試料並びにアミノ酸の補足効果のため豆乳を添加した試料についても同様の測定を行った。<BR>[結 果]ジャポニカ種米粉ゾル(90℃加熱)は、高粘度でチキソトロピー性が顕著であった。DSC及び光学顕微鏡観察の結果、インディカ種の糊化温度がより高いことを確認した。タピオカ澱粉添加のジャポニカ種米粉ゾルはチキソトロピー性が低下し、豆乳添加では増大した。何れもCasson解析で降伏値の増大を確認した。米粉麺においてジャポニカ種は軟らかく、付着性が高く、官能検査での評価が低かったが、タピオカ澱粉や豆乳添加により無添加麺よりも総合的に高い評価を得た。(尚、演者は東横学園女子短期大学非常勤講師であり、実験は東京家政大学調理科学研究室の協力の基に行った。)
著者
三田 有紀子 近藤 沙歩 米澤 真季 大島 千穂 續 順子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.194, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】味覚には様々な因子が影響することが知られており、女性では性周期もその一因とされている。一方、味覚に影響を与える大きな要因として運動も挙げられるが、女性に欠かせない性周期の下で運動が味覚に影響するかどうかは報告が少ない。そこで本研究では、女性を対象とした性周期に伴う味覚感受性の変化と運動との関連性を明らかにすることを目的として、運動経験や運動習慣に着目し、これらが各月経周期で味覚感受性にどのような影響を与えるか検討した。【方法】実験内容に承諾を得られた被験者を過去現在においてともに運動習慣がない者(対照群10名)、過去に運動習慣があり、現在運動習慣がない者(経験群11名)、過去現在両方において運動習慣がある者(習慣群10名)に分けて検討した。被験者には、生活習慣・食習慣・口腔状態、月経、運動習慣に関するアンケート調査と食物摂取頻度調査、身体計測、唾液試験、味覚試験を行った。唾液試験、味覚試験は基礎体温を基に月経期・卵胞期・排卵期・黄体期に分けたそれぞれの時期に実施し、味覚試験は全口腔法および濾紙ディスク法の2種類とした。【結果・考察】運動習慣別に比較したところ、習慣群の味覚感受性は他の群と比べて卵胞期における塩味、酸味で鈍化し、同様の傾向が月経期、卵胞期の甘味、旨味でもみられ、黄体期の苦味では鋭敏になった。一方、月経周期別に各群で比較した結果、習慣群の酸味感受性が排卵期と比べて卵胞期で鈍化したが、対照群、経験群には月経周期による影響がみられなかった。以上の結果から、運動習慣を持つ者は運動による味覚感受性の変化が恒常的にあらわれる可能性があり、女性では月経周期によってその傾向が異なることが示唆された。
著者
柳内 志織 松本 美鈴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.62, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】 天ぷら衣は、揚げ操作によって水分と油の交代が起こり、サクサクとした軽い食感になる。水よりも沸点の低いアルコールは、水分と油の交代を速やかにすることが期待される。本研究では、天ぷら衣に添加したアルコールが、揚げ衣の食感に及ぼす影響を検討することを目的とした。【方法】 <天ぷら衣の調製>薄力粉40gを、水、卵水およびアルコール水溶液(5、10、15,25v/v%)60gに篩い入れ、粉を水相に叩き落とすように菜箸で撹拌した。<揚げ衣の調製>紙片(2.5㎝角)を衣の中に潜らせ、180℃のサラダ油で2分間揚げ、測定に供した。官能評価用試料は、紙片の代わりに1cm角のじゃがいもを使用した。一般成分分析用試料は、衣をロートで直接油に滴下して3分間揚げた。<測定項目>紙片への衣付着量、揚げ衣重量、揚げ衣の破断試験(レオメーター)、官能評価(7段階尺度による評点法)、揚げ衣の水分量(常圧加熱乾燥法)・脂質量(酸分解法)、揚げ衣のアルコール残存量(F-キット)について測定した。【結果】 衣付着量および揚げ衣重量について有意差は見られなかった。揚げ衣の厚さはアルコール添加により増加し、破断応力はアルコール添加により減少した。揚げ衣の水分量は、15%および25%アルコール添加試料が水衣より有意に低かった。脂質量はアルコール添加にともない増加した。官能評価の結果、アルコール添加にともない衣は硬く砕けやすくなり、サクサク感が増すと判断された。これらの結果より、天ぷら衣にアルコールを添加することで、揚げ衣がサクサクとした歯脆い食感になることが明らかになった。また、10%および15%アルコール添加衣は、卵水衣より好ましいと評価された。
著者
伊藤 知子 上野 龍司
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.113, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】計量は調理の基本操作であり、特に塩分制限食など治療食の調理において計量操作の持つ意味は大きい。家庭においては、計量には計量カップ、計量スプーンなど、容積を測定する器具が用いられることが多いと考えられるが、市販されているそれらの形状は様々であり、精度についても不明である。これらは計量法で定められている「ます」ではないため検定検査の対象とはならないが、その測定値について一定以上の再現性は必要である。本研究では計量スプーンに着目し、形状の異なる計量スプーンの精度の比較を行った。【方法】計量スプーン(大さじおよび小さじ)12種について、その長径、短径、深さを測定した。これらの計量スプーンを用いて、水、小麦粉、塩、サラダ油等を測り取り、その重量を測定し、比較した。さらに「標準計量カップ・スプーンによる重量表(g)」(以下、重量表)の値との比較を行った。【結果】最初に大学生12名を被験者とし、2種類の計量スプーンを用いて、水・小麦粉を測りとってもらい、その重量を測定した。大さじを用いて測定した場合に有意差が見られた。次に計量スプーン12種を用いて様々な試料を測り取って重量を測定したところ、その値は有意に異なることが明らかとなった。特に半径(短径)よりも深さの値が小さい浅型の計量スプーンの測定値は、重量表の値の80%未満であった。浅型のものを除いた8種の計量スプーンの測定値を比較したところ、粒形状の試料よりも液状の試料の方が測定値のばらつきが大きかった。家庭における少人数用の治療食の調理や、味の再現性を重視する場合においては、少量の調味料の計量における計量誤差を小さくする計量方法の習得が必要であると考えられる。
著者
千代田 路子 藤村 亮太郎 田辺 聖子 右田 京子 山形 徳光 重松 康彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.1059, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】日本では少子高齢化が進み、核家族化、女性の社会進出、単身生活者の増大に伴い、調理の簡便化や省力化の傾向が見られ、カット野菜に対する消費者のニーズが高まってきている。カット野菜は微生物制御を目的に次亜塩素酸ナトリウム溶液による浸漬処理が広く行われており、微生物的な安全面や生理的・化学的変化について多くの報告がなされているが、栄養成分についての研究はあまり進んでいない。そこでカット野菜として需要が高いレタスについて、次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄殺菌処理と水道水による洗浄処理がカットレタスの栄養成分に与える影響を明らかにすることを目的に本実験を行った。【方法】レタスの外葉及び芯を除去した後、包丁にて4cm四方にカットしたレタスを試料とし、次亜塩素酸ナトリウム溶液(200ppm)浸漬による洗浄殺菌処理と水道水による洗浄処理(1分間、20分間)を行った。その後、調製したカットレタスの各栄養成分[ビタミンC及びミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)]について定量分析を行った。実験期間は栄養素の季節変動を考慮し、季節ごとに年4回(2007年秋~2008年夏)と設定した。【結果】調製したカットレタスの栄養成分データについて比較した結果、いずれの栄養成分においても各調製試料間に有意な差は確認されなかった。以上の結果より、洗浄方法の違いによってカットレタスのビタミンC及びミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)に有意な損失はないことが示唆された。また、季節ごとの栄養素の変動について一定の規則性は確認されなかった。
著者
数野 千恵子 織田 佐知子 江端 恵加 松本 雄大 樋口 直樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2097, 2009

<BR>【目的】近年、多種類のミネラルウォーターが市販されているが、その硬度は軟水から硬水まで様々である。これらミネラルウォーターは飲料水の他に、お茶やコーヒー等の嗜好品や調理にも幅広く使用されている。そこで、煎茶とほうじ茶について硬度の異なるミネラルウォーターで調製したお茶が味覚に与える影響を官能検査と、カテキン類、メチルキサンチン類およびアミノ酸類含有量から比較検討した。<BR>【方法】1)試料および試料水:市販の煎茶および焙じ茶について、高純度水製造装置で調製したRO水(硬度:0)の他に硬度:30、58、94、307、700、1468の市販製品を用いて調査した。2)抽出方法:煎茶は80℃に熱した水に茶葉を入れ、篩でろ過した。ほうじ茶は沸騰水に茶葉を入れ、篩でろ過した。3)官能検査:各試料水でお茶を入れ、おいしいと感じた順位を調査した。また、各々のお茶についての香り、色、渋み、甘み、うまみ、飲み易さも併せて調査した。4)カテキン類及びメチルキサンチン類の測定:HPLCにより分析した。5)遊離アミノ酸類の測定:アミノ酸分析システムを用いた。<BR>【結果】煎茶では、カテキン類およびメチルキサンチン類は比較的硬度の低い製品が多く抽出された。テアニンは硬度の差より製品による差の方が大きかった。ほうじ茶は煎茶に比較してカテキン類やアミノ酸の含有量が少ないために、味にほとんど関与していないと思われる。官能検査結果より、煎茶、ほうじ茶ともに、硬度が30~100程度の水で抽出したものが好まれた。煎茶やほうじ茶は硬度が30~100程度のいわゆる軟水を使用したほうがおいしいという結果が得られた。
著者
渋谷 和代 左官 愛野 江端 恵加 渡部 絵里香 数野 千恵子 西島 基弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.95, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 緑茶を水道水、アルカリ電解水、およびRO水(逆浸透膜で得られた水)で抽出し、カテキン類、メチルキサンチン類、L-アスコルビン酸およびテアニンの抽出率の比較検討を行った。また、市販緑茶(18種類)中のそれらの含有量について検討した。<BR><B>【方法】</B><BR> 緑茶の抽出は、茶葉を一定条件で抽出後、ろ液を試験溶液とした。カテキン類、メチルキサンチン類およびL-アスコルビン酸はHPLCを用いた。HPLC用カラム: J'sphere ODS – H80(4μm,4.6mmi.d.× 250mm)を用いた。L-アスコルビン酸はカラムは0.1Mリン酸一アンモニウムで置換したLiChrosorb-NH<SUB>2</SUB>(10μm,4mmi.d.× 250mm)を用いた。テアニンは、アミノ酸分析計で分析した。<BR><B>【結果】</B><BR> 緑茶抽出液のカテキン類では、特にEGC、EGCG、EC、ECGが多く検出されEGC、EGCG、EC共にRO水の抽出が最も良く、次いでアルカリ電解水、水道水の順であった。ECはRO水、水道水、アルカリ電解水の順となった。メチルキサンチン類については、カフェインが最も多く検出され、RO水での抽出が最も良く、アルカリ電解水、水道水の順であった。テアニンについては、いずれの試料水も同程度検出された。市販緑茶のカテキン類は30~75mg/100mlであるが、「特保」や商品名に「濃い」と表示されているものは、100 mg/100ml以上のものが多く見られた。カフェインについても同じ製品では多く検出されたが、テアニンは特に多くはなかった。市販緑茶のL-アスコルビン酸は、3~40mg/100mlと製品により大きな差が見られた。
著者
中島 美樹 松下 浩子 平光 正典 坂井田 和裕 江上 いすず
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.172, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 唐揚げにレモンを用いることで、さっぱり感が増すことと肉が柔らかくなることが一般的に知られている。そこで、(1)レモンの構成成分がさっぱり感にどのように影響を及ぼしているのか、また、(2)柔らかさを感じる最適な調理条件について検討した。<BR><B>【方法】</B><BR> (1)レモン果汁、レモン果汁と同酸度のクエン酸溶液、何もかけない市販惣菜唐揚げを用い、食べた時のさっぱり感について官能検査を実施し、まずは酸味の影響を確認。続いて、レモン果汁の主要構成成分である、酸味、香り、果汁感(コク)の存在がそれぞれさっぱり感にどのように影響しているのか官能検査にて検証。 (2) pHの異なるレモン果汁(pH2.5、3.0、3.5)に浸け込んだ鶏モモ肉を唐揚げにし、柔らかさおよび美味しさについて官能検査を実施。また、レモン果汁に浸け込んだ際の鶏モモ肉の保水量を確認。<BR><B>【結果】</B><BR> (1)レモン果汁、クエン酸溶液共にさっぱり感が増したが、レモン果汁の方がクエン酸溶液よりも有意に高く(P<0.05)、酸味以外の成分もさっぱり感に影響を及ぼしていることが示唆された。次に、レモン構成成分のさっぱり感についての役割を調べた結果、酸味、香り、コク共にさっぱり感が増し、中でも、香り、コクよりも酸味の影響が強かった(P<0.05)。 (2)pH2.5、3.0、3.5共に保水量が増加、事前にレモンに浸け込むことで柔らかい唐揚げに仕上がることが確認された。
著者
荒田 玲子 渡辺 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【はじめに】節分に巻きずしを食べる習慣の起源・発祥には諸説がある。江戸時代から明治の初めに大阪の商人達が、商売繁盛、無病息災を願って行われたものが、その後大阪鮓組合や大阪海苔問屋協同組合の販売促進の宣伝により大阪を中心に広がり、1989年広島のセブンイレブンが最初に「恵方巻き」として販売し全国に広がったとされる。【目的】本学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」において調査した行事のうち、認知度、喫食経験ともに高値であった節分の行事食の中から、巻きずし(のり巻き)に注目し、47都道府県におけるその喫食変化を調べることにより、県や地域の違いを掘り起こすことを本研究の目的とした。【方法】特別研究のデータを各都道府県単位で、その調査単位に10年以上居住する対象者のみを抽出し、「節分認知」「節分経験」「喫食経験」「巻きずしの喫食状況」「巻きずしの調理状況や食べ方(以前)」「巻きずしの調理状況や食べ方(現在)」「変化した時期」の項目について集計し、その喫食変化について検討した。【結果】節分に丸かぶり寿司あるいは、恵方巻きと呼ばれる太巻きずしを食べる習慣は、他の地域に比べ、大阪府を中心に近畿圏に多くみられた。「福巻寿司発祥の地の碑」がある栃木県においても、大阪より少ないが、他の関東圏より「毎年食べる」が多く、「途中から」と答えたものは少なかった。「外で食べる」が以前も現在も少なく、「買う」か「家庭で作る」が多かった。これは、巻きずしの食習慣の発祥に由来すると思われる。
著者
チャン レニー
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.29, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】サンマのエイコサぺンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)(それぞれ心臓病予防、脳機能改善に効果がある)は加熱調理により減少するとの報告があるが、その減少メカニズムに関する詳しい研究は行われていない。本研究の目的は、3つの調理方法(フライ・グリル・フライパン調理)において、調理後のサンマのEPAとDHAの保持率を測定し、その減少メカニズムを明らかにすることである。【方法】サンマを3つの調理方法を用いて、中心温度が75、85、95°Cになるまで加熱した。サンマの温度は、中心等の6か所(可視化のための分布計測時は最大23か所)を熱電対により測定した。化学分析では、調理前後のサンマのEPA・DHA成分と脂質酸化の程度(カルボニル・TBA値)を測定した。【結果】フライ、グリル、フライパン調理時のEPA保持率はそれぞれ 43、77、91%であり、DHAではそれぞれ48, 75, 99% であった。各調理方法において、中心温度の違いによる保持率の有意差はなかった。フライ調理時は、サンマの表層部の温度は調理開始後すぐに約200°C(EPA・DHAの分解温度)に達し、表層部にEPA・DHAが最も多く存在することから、主な減少メカニズムは加熱分解であると考えられる。一方、グリル調理時は、EPA・DHAが多く含まれる脂が多く飛散しており、脂の飛散が保持率低下の主な要因であることがわかった。フライパン調理時は、保持率が最も高かった。脂の飛散が少なく内部温度はフライ調理時ほど高くないことが、その要因と考えられる。調理方法の違いによる、脂質酸化の測定結果に有意差はなかった。EPA・DHA保持率は、フライ>グリル>フライパン調理の順であり、減少メカニズムはそれぞれ脂の飛散と加熱分解(両方少量)、脂の飛散、加熱分解と考えられる。
著者
岩村 もと子 三宅 紀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.170, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】タケノコは和食の特徴である旬を感じさせる食材のひとつである。海外からの安価なタケノコの輸入の増加などにより、水煮タケノコの利用はあるものの、家庭での生鮮タケノコからの調理が少なくなってきている。各地で放置竹林も問題となっている。多くの調理書などではタケノコのあく抜きは米ぬかを用いた方法が示されているが、本研究ではタケノコの簡便なあく抜きの方法について検討した。【方法】日本におけるこれまでのタケノコのあく抜き法について文献調査を行い、アジアの国々についても、在留外国人に聞き取り調査を行った。次にあく抜き方法について検討を行った。タケノコは2015年4月、鎌倉市内の竹林で採取し、収穫3日後のものを用いた。10%米ぬか、0.3%重曹、50%牛乳、アルカリイオン水、1.75%そば粉(そば湯)を用いてゆで、ゆで汁に浸漬して冷却し、水洗い後15時間水に浸漬したものを試料とした。20歳代のパネル(女性31名)により、えぐ味の強さ、硬さ、色・香り・食感の好みなどの評価項目について5段階の評点法を用いて官能評価を実施した。【結果】文献調査の結果、日本でのあく抜き法として、何も添加せずにゆでる「湯煮」が長く行われてきたが、明治末期には婦人総合誌に米ぬかを用いた方法が記載されていた。また、アジアの国々においても「水でゆでる」「塩水でゆでる」が多かった。収穫後時間の経過したものはあく抜きが必要となるが、官能評価の結果、いずれの方法においてもえぐ味の強さに差は認められなかったが、色の好みおよび硬さについて有意差が認められ、重曹を用いた試料での褐色化および組織の軟化によるものと考えられた。米ぬかを含めていずれの方法によってもあく抜きが可能であることが示唆された。
著者
佐藤 未帆 村上 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.112, 2018 (Released:2018-08-30)

【目的】 わさび(山葵)は、我が国固有の香辛料である。根、茎、葉全体に辛味があり、特に根の辛みは強く、特有の高雅な風味がある。そのため、日本料理ではこれを新鮮な状態でおろして、「つま」として用いられる。また、根茎を磨砕したものは山葵餅、山葵羊羹などの菓子にも使用されている。静岡県は国内有数のわさびの産地の一つであるが、一部の地域において餅を搗く際にわさびを添加する風習がある。これは、わさびを添加することによって餅が柔らかくなり、食べやすさが向上するとともに、長期間保存できることが経験的に伝承されているためである。しかし、わさび添加による影響について詳細な記述や論文はほとんどないのが現状である。そこで、わさびの添加が餅の物理特性に及ぼす影響について検討した。【方法】 試料として、もち米はこがねもち(精白米)、わさびは静岡県産の本わさびを用いた。わさびは、使用時におろし器(鮫皮)にておろして用いた。もち米は、蒸溜水で洗浄後、20℃で5時間吸水させた。その後、30分間水切りを行い、蒸し器にて40分間強火で蒸し上げた。蒸し上がったもち米をすり鉢に移し入れ、米粒がなくなるまですりこぎで搗いた後に二等分し、一方は無添加、一方にはわさびを添加し、わさびが均一に混ざるまでさらに搗いた。また、無添加の試料についても、同回数さらに搗いた。物理特性は、調製当日の試料と1日間保存した試料について、卓上物性測定器により測定した。【結果】 調製当日の物性をみると、かたさは、わさびを添加した餅とわさび無添加の餅との間に有意差はみられなかった。一方、1日間保存した場合、わさびを添加した餅は無添加の餅と比べて、かたさが有意に低下した。
著者
峰村 貴央 宮田 美里 三舟 隆之 西念 幸江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】 </b>奈良時代を含む5世紀の古墳時代以降は、甑を利用した「蒸す炊飯」が行われていた。しかし、文献史料の一つである「正倉院文書」に残る「食法」には、奈良時代の写経生に「粳米」を支給していたという記述がある。「粳米」は原則「蒸す炊飯」には適さないため疑問が残る点が多い。そこで、本研究では、様々な文献史料から炊飯方法とその料理を類推し、奈良時代の炊飯方法の検討と食事の復元を試みた。<br /><b>【方法】 </b>『延喜式』内膳司年料によると古代の洗米方法は、「磨二御飯一暴布袋一口〈長一丈〉、暴布巾卅六條」とあり、本研究では米をさらしで包み振り洗いをし、水切りをした。甑の代用として、直径26cmのアルミニウムの寸胴鍋にざるを裏返して入れ、その上にシリコーンゴムの蒸し板をフックで固定した加熱器具を作成した。その加熱器具に蒸留水を入れて沸騰後、さらしで包んだ米を蒸し板に置き、40分間強火で加熱した。また、蒸し加熱開始後10分、20分、30分に振り水をした。振り水の量は、3回の合計が米の重量の1.5倍量とした。炊飯には、寸胴鍋に蓋をした場合としない場合を用い、炊き上がり倍率、色、硬さ、炊き上がり状態の観察を行った。また、同じ『延喜式』に「洗盤十二口〈四口磨二御飯一料〉という記述があったため、飯を蒸留水で洗い同様に測定した。<br /><b>【結果】 </b>炊き上がり倍率は、「蓋あり、振り水あり」が1.8倍、「蓋なし、振り水あり」が1.2倍、「蓋あり、振り水なし」が1.3倍、「蓋なし、振り水なし」が1.2倍であった。「蓋あり、振り水あり」の試料の値が高かった。硬さは、有意差は認められないが、「蓋あり、振り水あり」が他の試料よりは軟らかい傾向にあった。飯を水洗いすると、重量がやや増加する傾向があった。