著者
宇野 あかり
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.117-127, 2020 (Released:2020-05-30)
参考文献数
38
被引用文献数
1

【目的】緩和ケア病棟で働くスタッフを対象に,緩和ケアで死に寄り添うことへの心理的適応過程を死のとらえ方と時間的展望に着目して明らかにする.【方法】緩和ケアスタッフ10名を対象に半構造化面接を実施し,TEM(複線径路・等至性モデル)を用いて分析した.【結果】スタッフは緩和ケアのキャリアの中で死のとらえ方を変化させ,死にpositiveな意味を見出すことで精神的健康を維持して働いていた.また,死が身近な環境は,過去・現在・未来への視点を広げ,適応的な時間的展望の形成を促し,よりよい生を送ろうという意識を高めることが推測された.【結論】今後はスタッフの死のとらえ方を把握しpositiveな意味づけを促す必要がある.また,緩和ケアに時間的展望の視点を取り入れることは,緩和ケアが自身の成長の糧になっているという気づきや,日々のケアの意識にもよい変化があると考えられ,有意義であるといえるだろう.