著者
高橋 賢司 稲葉 忠興 守中 正
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.399-404, 1985-10-25
被引用文献数
3

インゲンマメ(<i>Phaseolus vulgaris</i>)の初生葉にインゲンマメ炭そ病菌(<i>Colletotrichum lindemuthianum</i>)を一次接種し,その後展開した第1複葉にインゲンマメさび病菌(<i>Uromyces appendiculatus</i>)を二次接種すると,さび病菌の夏胞子層の形成数の減少,夏胞子層の形成遅延・成熟遅延,夏胞子層および夏胞子層周囲の黄化部の大きさの縮小が生じた。これらの抑制効果が現われるためには,炭そ病菌の分生胞子5.0×10<sup>4</sup>個/ml以上の濃度が必要であった。一対の初生葉の1枚に炭そ病菌を一次接種し,他方の1枚にさび病菌を二次接種すると夏胞子層の形成数および形成速度・成熟速度には影響がなかったが,夏胞子層および夏胞子層周囲の黄化部の大きさを抑制した。これらの現象はインゲンマメ炭そ病菌の一次接種によって,インゲンマメさび病に対する全身的な抵抗性が誘導されたためと考えられる。