著者
小田 寛貴 池田 和臣 安 裕明 坂本 昭二 Oda Hirotaka Ikeda Kazuomi Yasu Hiroaki Sakamoto Shoji
出版者
名古屋大学宇宙地球環境研究所
雑誌
名古屋大学年代測定研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.48-51, 2018-03-31

古経典の古筆切(古写経切)について,加速器質量分析法を用いた14C年代測定を行い,その結果を2018年2月1日~2月2日に名古屋大学宇宙地球環境研究所において開催された第30回(2017年度)名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究シンポジウムにおいて報告した.奈良時代は,鎮護国家の思想を背景に,国家推進型の仏教が展開された時期である.そうした中で,大規模な写経事業が行われ,多くの経典が書写ないし印刷された.そこで,今年度は,主にこうした奈良時代に書写された古写経切の代表的なものについて行った14C年代測定について報告した.本研究の一部には,平成28年度~平成31年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B) (課額番号・16HO3101,研究代表者;小田寛貴)を使用しました.
著者
坂本 昭二 倉石 沙織 小田 寛貴 江南 和幸 岡田 至弘 安 裕明 池田 和臣 河野 益近
雑誌
じんもんこん2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.19-26, 2010-12-04

本研究では、4世紀の李柏文書から20世紀までの古文書等の様々な料紙を対象として、これらの料紙を科学的に分析したデータを用いて料紙の比較分類を試みた。まず、紙の色情報によって料紙の分類を行った。この結果、時代的に古い紙は比較的黄色味を帯びた暗い色をしているが、新しい紙では黄色味が減少して白い紙が多いことを示した。次に、蛍光X線元素分析によって料紙に含まれる元素の種類を調べ、時代的に古い紙が含む元素の種類数は多く、新しい紙に含まれる元素の種類数は少ないことを示した。特に大谷文書の多くに元素Fe, Ti, Alが含まれていることを確認した。