著者
安井 良僚 河野 美幸
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.941-945, 2013-09-30 (Released:2014-01-10)
参考文献数
9

要旨:【目的】小児期の卵巣茎捻転(以下,本症)の自験例を検討し,診断および治療について考察した。【対象および方法】2000年から2011年に,女性の急性腹症で,腹部CTにて卵巣嚢腫など卵巣腫大を認め,腹腔鏡手術を施行した7例を対象とし,年齢,腫瘍のサイズ,CT所見,治療法などにつき検討した。【結果】平均年齢は11.3±4.2歳。CTでの卵巣の最大径は平均75±26mmであった。7例中5例が本症と診断され,これらの症例では単純CTで卵巣壁および周囲にhigh densityな部位を認めた。本症に対しては卵巣切除術が行われてきたが,3例で病理学的にviableな原始卵胞が確認された。悪性の卵巣病変は認めなかった。また1例で術後,対側卵巣に卵巣嚢腫が出現した。【結論】本症の確定診断および治療に腹腔鏡が有用である。しかし卵巣捻転に対しては卵巣が肉眼的壊死と考えられても,可能な限り温存を優先するべきと考えられた。