著者
北谷 秀樹 梶本 照穂 河野 美幸 小沼 邦男 野崎 外茂次 桑原 正樹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.884-890, 1996-10-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
16

小児の包茎への対応には,社会・文化的背景も考慮に入れる必要がある.そこで小児の包茎の治療指針の一助にする目的で男児をもつ父母の意識調査を行った.対象は当科関連の産院で男児を出産した1466家族で,封書によるアンケート方式で行った.また,当大学病院の看護婦330名にも同様のアンケートを行った.質問内容は,どのような状態を包茎と考えるか,どんな害があると考えているか,どのように対処したのか等に加え父親自身の体験も聞いた.その結果,父母からは420通の回答(有効回答率 : 31.5%)を,看護婦からは98%の回答を得た.回答者の3分の2は真性包茎の状態を包茎と考えていた.また包茎の害は不潔,亀頭包皮炎,早漏の原因,結婚生活の支障,等が多数を占めたが,その認識には父親,母親,看護婦の間で違いが見られた.父親の50%が中学生の頃に,25%が高校生の頃に亀頭が露出するものだと思っていた.父親の33%がかつて自分が包茎ではないかと悩んだことがあり,その平均年齢は15.2歳であった.この調査の結果から,亀頭の露出時期には個人差が大きく,多くは中学生頃から始まるものと推察される.従って,小児の包茎が病的か正常範囲内かの判定は思春期以降に行われるべきで,幼小児期の手術適応は一定の臨床症状のあるものに限るべきであるとおもわれる.今後,社会的な面を含めた検討が必要である.
著者
北谷 秀樹 梶本 照穂 河野 美幸 小沼 邦男 野崎 外茂次 桑原 正樹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.884-890, 1996

小児の包茎への対応には,社会・文化的背景も考慮に入れる必要がある.そこで小児の包茎の治療指針の一助にする目的で男児をもつ父母の意識調査を行った.対象は当科関連の産院で男児を出産した1466家族で,封書によるアンケート方式で行った.また,当大学病院の看護婦330名にも同様のアンケートを行った.質問内容は,どのような状態を包茎と考えるか,どんな害があると考えているか,どのように対処したのか等に加え父親自身の体験も聞いた.その結果,父母からは420通の回答(有効回答率 : 31.5%)を,看護婦からは98%の回答を得た.回答者の3分の2は真性包茎の状態を包茎と考えていた.また包茎の害は不潔,亀頭包皮炎,早漏の原因,結婚生活の支障,等が多数を占めたが,その認識には父親,母親,看護婦の間で違いが見られた.父親の50%が中学生の頃に,25%が高校生の頃に亀頭が露出するものだと思っていた.父親の33%がかつて自分が包茎ではないかと悩んだことがあり,その平均年齢は15.2歳であった.この調査の結果から,亀頭の露出時期には個人差が大きく,多くは中学生頃から始まるものと推察される.従って,小児の包茎が病的か正常範囲内かの判定は思春期以降に行われるべきで,幼小児期の手術適応は一定の臨床症状のあるものに限るべきであるとおもわれる.今後,社会的な面を含めた検討が必要である.
著者
河野 美幸 梶本 照穂 小沼 邦男 野崎外 茂次 伊川 廣道 北谷 秀樹 和田 知久 川中 武司 中村 紘一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.1132-1137, 1991-12-20 (Released:2017-01-01)

The normal position of the anus is not defined objectively. Using a simple technique, the anal position index was designed to define the position of anus in neonates and infants as follows: the ratio of the distance between the scrotum and the anus to the distance between the scrotum and the coccyx for males and the distance between the vagina and the anus to the distance between the vagina and the coccyx for females. The anal position index in neonates was not affected by body weight. In male infants, the anal position index was not affected by age. But in female infants, the anal position index decreased from neonatal period to three months of age but no significant difference was demonstrated from three months of age to twelve months of age. We think that the anal position index is useful as an objective parameter to assess the localization of the anus.
著者
丸橋 隆行 須佐 梢 西本 奈津美 菅井 貴裕 横濱 章彦 定方 久延 河野 美幸 梶田 幸夫 深石 孝夫 野島 美久
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.533-538, 2012 (Released:2012-09-10)
参考文献数
14

母親が抗D抗体を保有し胎児がRh0(D)陽性の場合,胎児や新生児が重篤な溶血性疾患を発症することがある.今回我々は,3度目の妊娠,出産であるRh0(D)陰性の妊婦が抗D抗体を保有し,出生したRh0(D)陽性の児が新生児溶血性疾患を発症,交換輸血を施行した症例を経験した.妊娠初期の不規則抗体検査にて酵素法のみ陽性の抗D抗体であったもののその後間接抗グロブリン法も陽性化,徐々に抗体価の上昇が認められ,出産時には2,048倍まで上昇した.出生直後から急激なビリルビン値の上昇とHb値の低下を認め,交換輸血,γ-グロブリン療法,光線療法の適応となった.交換輸血に用いた製剤は,O型Rh0(D)陰性赤血球濃厚液とAB型Rh0(D)陽性新鮮凍結血漿を院内にて混合調整した合成血である.患児はこれらの治療が奏功し軽快,退院した.Flow Cytometryによる解析から,交換輸血直後,患児赤血球はほぼO型Rh0(D)陰性赤血球に置換されていたが,日毎に患児由来のRh0(D)陽性赤血球の割合が増加,86日後では,ほとんどのO型Rh0(D)陰性赤血球は消失していた.輸血された赤血球の半減期は約36日であり,健常人赤血球とほぼ同等であった.
著者
小林 千種 中里 光男 山嶋 裕季子 大野 郁子 河野 美幸 安田 和男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.139-143, 2001-04-25 (Released:2009-03-25)
参考文献数
6
被引用文献数
13 15

RI-HPLC及びパルスドアンペロメトリック検出イオンクロマトグラフィー(PAD-IC)による広範囲の食品に適応可能なスクラロースの分析法を作成した.試料に 10% NaCl 含有 0.01 mol/L HCl を混和して透析膜に充てんし,0.01 mol/L HCl を透析外液として用い,24時間透析を行った.透析外液を Bond Elut ENV カートリッジに負荷して濃縮及びクリーンアップを行い,試験溶液を作製した.従来の前処理方法と比較して夾雑物の影響がなく,RI-HPLC及びPAD-ICの両分析法に適用することができた.両分析法のスクラロースの定量値はほぼ一致した.試料からの添加回収率は 88% 以上得られ,定量下限は前者で10 μg/g,後者で1 μg/g であった.
著者
安井 良僚 河野 美幸
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.941-945, 2013-09-30 (Released:2014-01-10)
参考文献数
9

要旨:【目的】小児期の卵巣茎捻転(以下,本症)の自験例を検討し,診断および治療について考察した。【対象および方法】2000年から2011年に,女性の急性腹症で,腹部CTにて卵巣嚢腫など卵巣腫大を認め,腹腔鏡手術を施行した7例を対象とし,年齢,腫瘍のサイズ,CT所見,治療法などにつき検討した。【結果】平均年齢は11.3±4.2歳。CTでの卵巣の最大径は平均75±26mmであった。7例中5例が本症と診断され,これらの症例では単純CTで卵巣壁および周囲にhigh densityな部位を認めた。本症に対しては卵巣切除術が行われてきたが,3例で病理学的にviableな原始卵胞が確認された。悪性の卵巣病変は認めなかった。また1例で術後,対側卵巣に卵巣嚢腫が出現した。【結論】本症の確定診断および治療に腹腔鏡が有用である。しかし卵巣捻転に対しては卵巣が肉眼的壊死と考えられても,可能な限り温存を優先するべきと考えられた。