著者
福元 健人 安樂 真樹
出版者
南江堂
雑誌
胸部外科 (ISSN:00215252)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.729-732, 2018-09-30

体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)とは,ポンプと人工肺を用いた体外循環回路により,数日~数週間,一時的に心臓または肺,もしくは心臓・肺の両方を補助する生命維持装置である.これまでに,ECMOは全世界で100,000例近い症例(うち成人は30,000例以上)での使用経験の蓄積があり1),特に重症呼吸不全に対するECMOの有効性が2009年に多施設ランダム化比較試験で示されて以降2),使用数は急激に増加してきている.集中治療領域のみならず,ECMOは心臓および肺を扱う胸部外科領域でもきわめて有用であり,さまざまなシーンでの利用が想定される.