著者
安江 多輔
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東海支部研究発表梗概
巻号頁・発行日
no.58, pp.35-38, 1970-07-31

1969年3月はじめから1970年2月末日まで1カ年間、文部省在外研究員として、カリフォルニア大学(デービス)に出張中、カリフォルニア稲作試験場や稲作地帯を訪れる機会があったので、当地で見聞したカリフォルニアの稲作の概況を紹介する。カリフォルニアは農作物の種類も豊富で、146種の農作物が栽培されているが、この中で棉、大麦などのスモールグレイン、シュガービート、トマトについで米は第5番目に重要な農作物である。カリフォルニアで栽培されている稲は日本と全く同じジャポニカタイプである。500〜700エーカー(200〜280ha)の大規模経営で、大型トラクター、飛行機、コンバインを駆使する徹底的に省力機械化されたかなり粗放な直播栽培であるにもかかわらず、平均収量はエーカー当り5, 000ポンド(籾)、10a当り437kg(玄米)であり、エーカー当り7, 000ポンド(籾)、10a当り612kg(玄米)の高い収量もまれではない。カリフォルニアの稲作は実にめぐまれた稲作であり、病虫害や悪天候、災害との苦闘に終始する日本の稲作をみなれた目にはまったく信じられないような気がする。
著者
安江 多輔 川瀬 康夫
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.34-41, 1975-04-25

栽培ヒエの青刈利用を目的として,その基礎的資料を得るために,白ヒエ及び赤ヒエを用いて種々の環境条件下における発芽と初期生育について実験を行った。1.ヒエの発芽適温は35℃,最高温度は40〜45℃の間にあり,最低温度は10℃以下である。15℃では約4日で発芽するから,日平均気温が15℃に達する頃から播種が可能である。2.中茎の伸長が著しく,覆土10cmで約70%,15cmでも約30%が出芽する。したがって土壌表面の乾燥が著しい場合には,浅播きよりも5〜6cmの深播きの方が出芽率が高い。3.土壌水分がpF4.2(供試土壌の含水比約15%)では出芽しなかったが,pF4.1(含水比約16%)で出芽し,pF3.8(含水比約22%)では出芽はやや遅れるが,出芽率には殆んど影響しなかった。4.水深5〜15cmの水中では発芽率は殆んど低下しないが,幼植物の生育は劣った。水中における幼植物の生育は過酸化水素の添加(100ppm)により良好となった。5.地下水位が5cmのような過湿土壌でも発芽率90%,定着率100%であり,播種後30日目の草丈及び乾物重は地下水位15cm区において最高であり,耐湿性が優れている。