- 著者
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安田 貴徳
櫻井 幸一
高木 剛
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.111, no.34, pp.9-16, 2011-05-06
- 参考文献数
- 19
多項式公開鍵暗号(MPKC)はポスト量子暗号の候補の一つである。RainbowはMPKCによる電子署名方式であり、暗号化および復号化の処理が高速であるという利点を持つ。一方で、MPKCの安全性は多変数方程式の求解問題の困難性に基づいており、暗号学的に安全なパラメータを選択すると鍵長がRSA暗号と比較して大きくなる問題がある。公開鍵長の削減に関しては既に研究が進められているが、秘密鍵長の削減に関する研究の報告はまだなされていない。本稿では非可換環を利用したRainbowの一署名手法を提案し、それによりRainbowの秘密鍵長が従来の場合より削減できることを説明する。特に1024ビットRSA署名と同等の安全性を持つとされるRainbowの場合、秘密鍵長を約75%削減できる。また、現在知られているRainbowの主な攻撃方法に対して安全性評価を行い、安全と思われる非可換Rainbowのパラメータを記述する。