著者
伊佐地 秀司 種村 彰洋 安積 良紀
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.202-209, 2014 (Released:2014-05-21)
参考文献数
21
被引用文献数
3 4

感染性膵壊死に対する経皮的・内視鏡的ドレナージなどの進歩に加えて,経時的な造影CT所見の蓄積から,急性膵炎の形態分類の再検討が行われ,2012年に改訂アトランタ分類が発刊された.1992年のアトランタ分類の膵膿瘍という用語は廃止され,新たな概念としてwalled-off necrosis(WON:被包化壊死)が定義された.WONとは,「膵壊死巣は早期は固体状であるが,時間の経過につれて壊死巣が液状化し,液状化した周囲が肉芽性・線維性の皮膜で覆われるようになったものであり,発症後4週以降にみられる合併症で,時期により固体状と液体状のものの比率は異なる.」とされている.新分類の特徴は,膵・膵周囲の貯留を,液体貯留と壊死性貯留に区別したところにあり,さらに壊死性貯留を,発症後4週以内の急性壊死性貯留(ANC)と4週以降のWONに分類している.なお,感染性(膵)壊死とは,ANCあるいはWONに細菌・真菌の感染が加わったものを指す.