著者
安藤 詩緒
出版者
明治大学大学院
雑誌
商学研究論集 (ISSN:1340914X)
巻号頁・発行日
no.26, pp.161-174, 2006

本稿の目的は、防衛部門による民間部門への外部性効果を測定することで、経済成長に対してどのような影響を及ぼしているかを分析し、経済と国防の相互依存関係を検証することである。国防(Defense)は、通常は公共経済学における公共財の一例として取り扱われているが、国防に焦点を当てた経済分析、つまり、防衛政策を経済学の視点から考察する防衛経済学という分野が1960年代から研究され始めている。それは、冷戦期のアメリカのソ連に対する防衛戦略に起因する。国防の問題を一大経済問題と捉えた事で、近年においても国防に対する経済学的な認識が広範になってきている。しかし、防衛経済学は、アメリカやヨーロッパでは広く研究されているのに対し、日本ではあまり知られていない。本稿では、始めに防衛経済学の概念を確認する。