著者
安部 秀雄 神前 芳信
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会四国支部紀事 (ISSN:0915230X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.10-14, 1969-12-25

ウシオコムギを用いて播種量と追肥時期の差異が倒伏と玄麦収量にいかに影響するかを検討した。1)追肥時期と玄麦収量との関係は全量元肥と2月28日の早い追肥のものが多収を示した。2)追肥時期と倒伏との関係は2月28日〜3月20日の間の追肥が最も大であり,窒素の追肥量が4kgよりも8kgの多肥が倒伏に影響が大であつた。3)倒伏と節間長との関係は全量元肥区と4月20日追肥区は第5節間長が短くなり倒伏も少なくなるが,追肥量,追肥時期と節間長の関係は明らかでなかつた。4)倒伏と止葉葉面積との関係はr=0.73,r=0.83の有意な正の稲側か認められた。5)倒伏と止葉生葉重の関係は4月20日の調査ではr=0.77,5月20日ではr=0.79の有意な正の相関が認められ,止葉生葉重の重いものが倒伏が大であつた。以上総括すると小麦の全面全層播栽培では止葉の大きさが倒伏に影響するので,収量を増加させて止葉を小さくするには全量元肥の施肥方法が安全であると思われた。