著者
安部 高太朗 吉田 直哉 鈴木 康弘
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-19, 2019 (Released:2019-07-16)
参考文献数
9

本稿の目的は、九州地方に所在する全国神社保育団体連合会加盟園の保育・教育理念の特色を明らかにするものである。神道に関連する文言を理念に掲げ、神道行事等を行っている22園分の理念をテキストファイル化し、KHコーダーを用いて保育・教育理念の特徴を析出した。 神道系園の保育・教育理念では、目指されるべき子ども像として「浄く・正しく・明るい」子どもが掲げられる。「浄く」とは、精神の明澄さを表す。「正しく」とは、実直なさまを表す。「明るい」とは、精神的なエネルギーが充溢した自己の内面を開示して、他者と交流するさまを示す。保育環境として重視されている、神社と一体化した鎮守の森は、神の顕現としての自然の豊かさを湛えることで子どもの心を揺さぶる。自然としての神の脅威に触れ、その恵みに感謝することが、神道園における情操教育の基盤なのである。自然に宿る神は、保護者と共に子どもの成長を見守る水平的・共存的存在である。
著者
吉田 直哉 鈴木 康弘 安部 高太朗
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.81-89, 2018 (Released:2019-01-23)
参考文献数
30

本稿の目的は、保育者の専門性に関する議論の現状と、その課題を明らかにすることにある。現在の保育者の専門性論には、保育者の専門性を、具体的に保育者が向き合う複数の職務の場面ごとに専門性を当てはめていく論法、あるいは、ケアという保育者にとっての根源的・核心的な専門性を想定し、そこから保育者の具体的な職務能力が派生すると考える論法の二つの形態が見られる。前者は、複数に分化した専門性の間の関連性が見失われがちであるという欠点、後者は、ケアという心理的・倫理的概念が、保育者の専門性を、個人の人格的な特性や資質といった、訓練可能なスキル以外のものに押し込めてしまう欠点を有している。今後の保育者の専門性論は、これらの欠点の克服、つまり、保育者の専門性諸要素の構造化と、保育者の専門性を訓練可能、伝達可能なスキル・知識の体系として構築することという二つの課題に向き合わなければならない。