著者
定岡 由典
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.447-454, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
12

目的:救急隊員のキャリア・プラトー現象の様相を明らかにし,今後の救急隊員のキャリア発達支援に資することを目的とする。方法:近畿地方に位置する3消防本部の救急隊員に対し昇任可能性認知や職務挑戦性などのアンケートを実施した。結果:指導救命士と救急管理者の資格使用とキャリア目標を有する救急隊員がプラトー化を抑制していた。キャリア目標では指導救命士,救急隊長,管理職を目標とする救急隊員がプラトー化を抑制していた。結論:指導救命士制度の創設は,救急隊員のプラトー化の抑制に貢献していることが示唆された。また,消防庁の救急業務に携わる職員の生涯教育の指針による救急隊員教育は,救急隊員のプラトー化抑制策のひとつとして有用と考えられた。今後,プラトー化の抑制といった観点からも救急隊員教育に積極的に取り組む必要がある。