著者
室田 浩司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.439-444, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

日本の大学による起業支援制度は,近年急速に整備されている。中でも,文部科学省と主要国立4大学による「官民イノベーションプログラム」は,大学における起業支援の中核事業へと成長し,特に,「POCファンド事業」と「大学ベンチャー投資事業」の果たす役割は大きい。一方,運営組織のデザインやガバナンス手法が,これら2つの事業の成否に大きな影響を及ぼす。また,POCを的確にデザインできる人材がこれらの事業に参画することが望まれる。さらに,良質な大学発ベンチャーを連続的に創出する環境を発展させ,日本の産業力向上に貢献していくには,事業開発経験を有する博士号取得者の活躍が極めて重要である。