著者
樋口 太重 宮坂 典利
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.427-432, 2013 (Released:2014-02-07)
著者
樋口 太重 宮坂 典利
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.427-432, 2013-04

近年,家畜排泄物およびその堆肥化過程で発生する悪臭は,周辺住民の猛烈な反発を招き,畜産業の存続を左右しかねない深刻な問題にも発展する。悪臭は他の環境問題と異なり,人間の臭覚で判断されることから,ひとの思考や体調などの影響を受けやすい厄介な問題である。畜産から発生する悪臭成分は,悪臭防止法で定められる22物質のうち,アンモニア,トリメチルアミン,低級脂肪酸(プロピオン酸など4種類),硫黄化合物(硫化水素など4種類)が主体となろう。今後,悪臭成分の除去など畜産排せつ物の適正な処理は,地域住民に安心・安全の生活環境を与えるばかりでなく,有機物資源の有効利用など地域の物質循環に役立つと考えられる。本稿では悪臭成分除去の視点から,人間による悪臭成分の感知,アンモニアの無臭化と微生物,完熟堆肥を利用した無臭化堆肥の試みについて,若干の知見に基づいて述べる。