著者
新田 真由子 宮島 双葉 船木 道 廣田 栄子
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.16-22, 2004-11-01

当センターに通園する軽度~高度聴覚障害幼児の5歳児5例を対象とし,個別発達を配慮しながら集団話し合い場面で訂正方略の使用を促し,発話を観察分析して,①会話成立への影響,②言語聴覚士から他児への汎化,③訂正方略の推移など話し合い活動にもたらす影響について発達的に検討した.その結果,5歳代後期における会話では一方的な自発話が減少し,応答受信時の発話が増加し,併せて訂正方略使用率が増加した.また,訂正方略を用いた応答発話は,5歳代初期に言語聴覚士を対象とし後期には他児への使用に汎化した.さらに,5歳代初期~中期には,「全体型」から「確認型」の訂正方略に推移し,後期には,詳細な会話内容を問う「限定型」への移行を認めた.訂正方略技術を指標として話し合い活動の発達を促進・評価することの有効性が確認された.