著者
松岡 太志 宮崎 一臣
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.374, 2010 (Released:2011-01-15)

【はじめに】 脊椎圧迫骨折の保存療法には,体幹ギプス固定と半硬性コルセットによる固定がある.当院でもこの2種類の治療法を行っている.体幹ギプス固定は入院後ギプスにて体幹を固定し,3週から4週間の固定の後,軟性コルセットを作成し治療を継続する.半硬性コルセットによる固定は,入院後すぐにコルセットを作製し,治療を行う.どちらの治療法も,早期に患部を固定し,後療法へ移れるために,有効な治療法であると言える. しかし,どちらの治療法がより有効であるかを示した研究は少ない.そこで本研究は,脊椎圧迫骨折患者の保存療法において,どちらがより有効な治療法であるのかを調査することとする.【目的】 体幹ギプス固定と半硬性コルセットによる固定との治療成績に差があるか否か,を調査・検討することである.【対象】 平成18年6月から平成21年6月までに当院回復期病棟に入院し退院した脊椎圧迫骨折の患者143例を対象とした.内訳は男性32例,女性111例で,平均年齢は79.8±8.3歳.在院日数は56.9±21.4日であった.治療法については,体幹ギプス固定44例,半硬性コルセットによる固定99例であった. また,今回は脊椎圧迫骨折のみによる入院患者で,受傷後すぐに来院若しくは救急病院を受診し,治療を開始できた患者を対象とし,他の骨折などの合併症を有する患者,指示入力が困難であるような重篤な認知症である患者は除外した.【評価及び方法】 評価項目として,在院日数,痛み,退院時のADL能力,受傷後8週経過時点で,骨癒合していないものを遷延治癒とし,その有無を挙げた.痛みについてはVAS,ADL能力についてはFIMにて評価した.以上の項目を評価し,体幹ギプス群と半硬性コルセット群の2群間に分け比較した.【結果】 在院日数は体幹ギプス群55.1±22.6日,半硬性コルセット群57.8±20.9日であり有意差を認めなかった.退院時のADL能力については,FIMにて体幹ギプス群117.1±7.0点,半硬性コルセット群112.0±14.4点であり,有意差を認めなかった(運動項目・認知項目共に有意差なし).痛みについても,有意差を認めなかった.遷延治癒に関しては、体幹ギプス群4例,半硬性コルセット群8例で有意差を認めなかった.【考察】 今回の結果より,体幹ギプスと半硬性コルセットの治療成績に差がないことがわかった. 体幹ギプスに関しては,強固に固定できるが,固定期間中取り外しができないため,患者のストレスが強く,ADLの中でも清拭等制限されるものが多い.一方半硬性コルセットは,取り外しができ,ADL上の制限も少なく,患者のストレスは体幹ギプスに比べると少ないのではないかと考える.治療成績に差がなければ,患者のストレスが少ないほうがより良いのではないかと考える.しかし,装着率の問題は否定できず, 今後の研究の課題となる.【まとめ】 脊椎圧迫骨折の保存療法において,体幹ギプス固定と半硬性コルセットによる固定との治療成績に差はない.