著者
田邉 真帆 荒瀬 康司 辻 裕之 謝 勲東 大本 由樹 天川 和久 加藤 久人 有元 佐多雄 奥田 近夫 小川 恭子 岩男 暁子 尾形 知英 橋本 光代 四倉 淑枝 山本 敬 宮川 めぐみ 原 茂子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.603-610, 2012 (Released:2012-12-27)
参考文献数
26

目的:高尿酸血症はインスリン抵抗性を基盤とするメタボリック症候群(MS)の一症候である.今回尿酸と耐糖能異常の関係を検討するため,高尿酸血症と高インスリン血症の関連について検討した.対象と方法:75g経口糖負荷試験(OGTT)を施行した人間ドック受診者全1,175例とOGTT糖尿病型を除外した1,007例の尿酸(UA)とインスリン(IRI)動態を検討した.UA>7.0mg/dLとUA≦7.0mg/dLに区分し,UA>7.0mg/dLを高尿酸値例(高UA群),UA≦7.0 mg/dLを正常尿酸値例(正常UA群)とした.さらにUA値を四分位に区分し第1四分位-第4四分位とした(Q1-4).IRI分泌ピーク値が負荷後30分である場合をIRI分泌正常型,IRI分泌ピーク値が負荷後60分以降である場合をIRI分泌遅延型とした.結果:血清UA値を四分位により分けた4グループの血糖曲線,IRI反応を比較したところ,UAが高いほど,血中血糖(PG)は軽度の上昇を示し,血中IRIは有意に高反応を示した.脂肪肝合併は全1,175例でも高UA群が56.5%(157/278),正常UA群が44.1%(396/897),糖尿病型を除外した1,007例においても高UA群が55.3%(141/255),正常UA群が40.8%(307/752)であり,高UA群に多くみられた.IRI分泌ではIRI分泌遅延型の頻度は全1,175例でも,糖尿病型を除外した1,007例においても高UA群の方が高率であった.結語:高尿酸血症は高インスリン血症と関連を認めた.
著者
辻 裕之 宮川 めぐみ 有元 佐多雄 謝 勲東 中島 弘 原 茂子
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.383-388, 2007-09-28 (Released:2012-08-20)
参考文献数
3
被引用文献数
1

目的:血清尿酸値(UA)および尿pHと,メタボリック症候群(MetS)との関連について検討する.方法:虎の門病院人間ドックでの21年間の受診者のべ225,826名(男性168,042名,女性57,784名)を対象として,UAおよび尿pHと,MetSとの関連について多角的に分析した.また本研究でのMetSの判定基準は,ウエスト周囲径のかわりに肥満指数(body mass index:BMI)25以上を使用した.結果:21年の経過で男女ともにUAの上昇,尿pHの低下およびMetS発現率の上昇が見られ,UAおよび尿pHは,MetS関連諸因子(血圧・空腹時血糖・中性脂肪・HDL cholesterolおよびBMI),さらに自己申告による疾患有病率の大部分と関連していた.さらに初診時BM正常者のその後のMetS発現率を初診時の尿酸値および尿pHとの関連でみると,初診時に高尿酸血症(UA:7.1mg/dl以上),または酸性尿(pH:5.5未満)があると,その後のMetS発現率は有意に高値であった。結論:UAと尿pHは,MetSと関連する因子や疾患有病率と有意な関連性があり,MetSおよび関連疾患発症のリスク因子であることが示された.さらに初回受診時のUAと尿pHが,その後のMetS発症に関連していることから,これらはMetSの先行指標となりうるものと考えられた.