著者
宮本 毅治 武田 宜子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.81-86, 2016-03-22 (Released:2016-03-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:人工呼吸器装着患者の鎮静管理において,海外では看護師による鎮静管理の効果が示唆されているが,わが国での調査は十分ではない.そこで,本研究では包括的指示に基づく看護師による鎮静管理について,目標鎮静度の達成度から,医師による鎮静管理との差異を調査した.方法:人工呼吸器装着患者10 名(医師調整群5名・看護師調整群5名)に対して2時間おき3日間の鎮静度の推移を記録し,2群の差や特徴について記述的に分析した.結果:目標鎮静度から乖離した頻度(割合)は,医師調整群25.4 ± 3.9 回(68.6%),看護師調整群18.0 ± 4.7 回(48.6%)であった.目標鎮静度からの乖離の程度を表す乖離の幅は,医師調整群1.1 ±0.4,看護師調整群0.6 ± 0.2 であり,看護師調整群の方が目標鎮静度から乖離した頻度が少なく,乖離の幅も狭い傾向にあった.結論:医師による鎮静剤投与量調整と比較した場合,包括的指示に基づく看護師による投与量調整の方が目標鎮静度に沿った鎮静管理を行えることが示唆された.