著者
山極 芳樹 熊谷 泰啓 宮本 重宏 大津 広敬
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-18, 2006 (Released:2006-05-08)
参考文献数
17

イオンスラスタの長時間・大量使用は周辺環境への大量の高エネルギーイオン排出を意味し,場合によっては,そのイオンの量およびエネルギーは周辺環境の粒子に比べて無視できないものとなる.これらのイオンスラスタ排出物が地球周辺環境中でどのような振る舞いをしてどのような影響をもたらすかを明らかにすることは,イオンスラスタ輸送システムの設計および運用形態を計画するうえで重要である.本論文では,主に地球磁場に捕獲されたイオンの三次元的運動と拡散過程および周辺粒子との衝突過程の時間的履歴を詳細にモデル化することで,以前のモデルからの大幅な改善を施し,周辺大気に受け渡されるエネルギーと地球周辺プラズマ密度をより精度よく求め,その結果をもとに,大量イオンスラスタ輸送ミッションの地球周辺環境および通信への具体的な影響評価を行った結果について報告する.