- 著者
-
宮本 順二朗
- 出版者
- 帝塚山大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2009
給与・賞与といった報酬割合が依然として高く、金額的にはまだまだ低いといわれるわが国企業において、ガバナンスを変えるための方策として、報酬体系・支給方法をただちに英米化するとは想定し難い。本稿では[1]タイム(1期)ラグ付きの役員報酬対企業業績回帰モデルよりも同時方程式モデルの方が説明力は高いこと、[2]'海外法人等持ち株比率'が取締役報酬と最も関連性が強いこと、[3]取締役報酬は、株価関連指標の中では'株価収益率(またはその変化率)'と正の相関、会計的指標の中では(対数変換)総資産額自己資本利益率と正の相関があり、'負債比率'と負の相関があることが判明した。さらに説明力を高めるためには、一方で、入手が比較的容易な会計(決算)数値データや株価関連データのみならず、(企業間異質性を示す)その他諸変数(例:役員の年齢・在任年数・員数)や(厳密には算出が難しい)フリー・キャッシュフローや、(乱用は慎まなければならないだろうが)適切なダミー変数などを利用するといったことも一考を要するだろう。また他方で、被説明変数(「経営者報酬」代理変数)として、取締役一人当たり平均報酬額を用いることに、再検討の余地は大いにあるだろう。