- 著者
-
舘野 純子
宇賀田 裕介
永井 勝信
瀧谷 春奈
稲葉 沙央莉
猿子 美知
赤池 幸恵
坂 英里子
宮村 大治郎
門手 和義
明石 直之
- 出版者
- 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
- 雑誌
- 関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, pp.182, 2017
<p>【目的】</p><p>心室性不整脈が頻発する症例に対する運動療法の効果について検討する.【症例提示】</p><p>72 歳,男性.X 年,健診にて心室性期外収縮(PVC)頻発を指摘されていた.X+1 年PVC に対してアブレーション施行するも心外膜側由来のPVC のため焼灼困難と判断し経過観察となっていた.X+3 年7 月22 日,急性心筋梗塞を発症し当院救急搬送.右冠動脈房室枝(#4AV)と後下行枝(#4PD)に完全閉塞を認め,潅流領域の広い#4PD に対して冠動脈インターベンションを施行した.#4AV は潅流領域が狭く,薬物療法継続の方針となった.退院時(7 月26 日)の心機能はEF61%,下壁の壁運動が低下しており,ホルター心電図では総拍数が88463 拍,PVC は総拍数の31%に出現,最大は3 連発であった.</p><p>【運動処方】</p><p>10 月6 日心肺運動負荷試験(CPX)施行.10 月12 日から5 ヵ月間,外来監視型心臓リハビリテーションを施行した.通院頻度は週1-2 回,運動の種類はレジスタンストレーニングと有酸素運動,運動強度は自覚的運動強度とCPX の結果に基づいて処方した。運動療法中は2 段脈が頻発,PVC ショートランの出現歴があり,自覚症状や血圧を管理しつつ介入した.</p><p>【結果】</p><p>開始時と5 ヶ月後のCPX では,PeakVO<sub>2</sub>16.1 →21.4kg/ml/min,MaxLoad84 →113W と改善を認めた.また,膝伸展筋力は体重比0.52 →0.60 と改善を認めた.さらに,週5 回程度の運動習慣がつき,非監視型運動療法への移行が可能となった.【考察】</p><p>心室性不整脈を有する患者に対する運動療法は,一定の見解が得られていない.今回,運動耐容能改善が得られた因子として,骨格筋の強化が図れたことが一要因であると考える.したがって,適切な運動処方や運動指導により,心室性不整脈を有する患者に対する運動療法は運動耐容能改善に効果的であり,非監視型運動療法への移行も可能であると考えられた.なお,本症例報告はヘルシンキ宣言に沿い対象者に同意を得たものである.</p>