著者
高久 英徳 五十嵐 康博 清原 博光 大山 和幸 黒澤 篤 齋藤 真里子 宮根 和弘 平松 美裕子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.125-130, 2007-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

北海道の一養豚場の豚が2002年および2003年に市販の豚コレラELISAキットで抗体陽性と判定されたが, 病性鑑定の結果から豚コレラの発生は否定的と考えられた. ELISAで抗体陽性と判定された豚はすべて豚コレラワクチン未接種であったので, 豚コレラウイルス (CSFV) と同じペスチウイルス属の牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV), ボーダー病ウイルス (BDV) を指示ウイルスに交差中和試験を行い, 当該豚に感染したペスチウイルスの特定を行った. その結果, BVDV NOSE株に対する抗体価がCSFVに対するそれよりも著しく高かった. これらの成績と豚と牛が過去に間接的に接触する機会があったという疫学調査の結果から, ELISAで抗体陽性と判定された豚は過去にBVDVに感染したものと考えられる. 本成績から, 豚コレラの診断においては豚へのBVDVおよびBDV感染も考慮する必要があることが示された.
著者
高久 英徳 大和田 真紀 宮根 和弘 斎野 仁 畠間 真一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.367-371, 2008-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
16

牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) に汚染された環境に豚を搬入することにより, 豚へのBVDV感染が成立することを調べるため, 感染試験を実施した. 試験1群および試験2群はBVDV野外株細胞培養上清およびPI牛から採取した尿を豚房床および飼料に散布し, そこへ豚を搬入した. 試験2群には上記に加えてBVDV液を強制的に経口接種した. また, 陽性対照群にはBVDV液を筋肉内接種, 陰性対照群にはBVDVを含まない細胞培養液を豚房床に散布した. 試験開始後3~14日目に, 陰性対照群以外では血清中からBVDVが分離され, 14日目以降にBVDV中和抗体の上昇が認められた. これらのことから, BVDVに汚染された環境は, 豚へのBVDVの感染源となることが示唆された.