著者
谷口 浩和 宮澤 秀樹 能登 啓文 泉 三郎
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.70-72, 2005
参考文献数
9
被引用文献数
1

背景. 気管支異物は, 健常若年成人に生じることは極めて稀である. 症例. 33歳の男性で, 主訴は咳嗽と発熱であった. 甘海老の頭部の入った味噌汁を飲んでいた際に強くむせた. その後, 咳嗽が続き, 強く咳をすると甘海老の足が喀出され, 発熱も出現したため, 当科を初診した. 気管支鏡にて, 中間幹内をほぼ閉塞する甘海老の頭部を認め, 把持鉗子を用い摘除した. 摘除後は, 数日の抗生剤投与にて症状の軽快をみた. 結論. 患者背景にかかわらず, 誤嚥の疑われる病歴があった場合には気管支異物の可能性を考えることが重要であると思われた. 気管支異物は, 小児や高齢者に多く発生し, 健常若年成人に生じることは極めて稀である. 今回我々は, 健常若年成人にみられた甘海老の頭部による気管支異物の1例を経験したので報告する. 症例 症例:33歳, 男性. 主訴:咳嗽, 発熱. 既往歴:特記すべきことなし. 職業歴:営業. 生活歴:喫煙歴はなし. 飲酒は, 機会飲酒. 現病歴:2004年6月22日, 甘海老(Pandallus eous, northern shrimp/pink shrimp/deep-water shrimp)の頭部の入った味噌汁を飲んでいた際, 何かが気管に入った感覚があり強くむせた. その後気管内に何かあるような違和感と咳嗽が続き, 強く咳をすると甘海老の足が喀出され, 軽度の呼吸困難が出現した.