著者
宮田 伸一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

昨年までに,カンキツグリーニング病を罹病させたニチニチソウの主脈を用いて、Cα. L. asiaticusの濃縮画分からの抽出DNAを用い,ゲノムDNA増幅キットによってゲノムDNAの増幅の後,プラスミドベクターにショットガンクローニングして塩基配列決定を行った。今年度は本クローニング手法を繰り返し実行し,その結果,第1段階スクリーニングによってα-プロテオバクテリア由来の配列に分類されるクローンを選抜し,さらにPCRによる第2段階スクリーニングを行って陽性クローンについては全塩基配列を改めて決定した。これらの陽性クローンの塩基配列情報を元に疎水性領域をもつものを探索したが,膜タンパク質のようにトランスメンブレンドメイン(疎水性領域と親水性領域が咬互に存在する)を持つものは見つからなかった。またドメインデータベースに対して検索を行ったところ、細胞外にSecシステムやABCトランスポーターによって輸送されるようなシグナルドメインをもつものも存在しなかった。しかし細胞外からの熱・浸透圧・イオン濃度などの刺激を受容して遺伝子発現制御を行うシグナル伝達系である二成分制御系因子の受容体であるSensor Kinase候補が存在したため,今後は全長配列の決定に向けてTail-PCR法やGenomic Walker Kitなどによる隣接領域の取得を試み、さらにペアとなるReceiver Domainの候補遺伝子の探索に取り組む。