著者
宮腰 剛広 陰山 聡
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.10, pp.676-682, 2015-10

地球内部の大部分を占めるマントル層の下には外核と呼ばれる液体鉄の領域がある.液体鉄は電気伝導性の流体なので,外核の流れと磁場は磁気流体力学(MHD)方程式に従う.この液体鉄を媒質としたMHDダイナモ過程により,地球磁場(地磁気)が作られている.長い歴史をもつ地磁気の研究は,計算機シミュレーションの手法が導入された1990年代半ば,飛躍的に発展し,その後もスーパーコンピュータの進歩に伴って着実に進歩してきた.MHDシステムとしての地球外核の特徴の一つは,地球の回転(自転)が流れに及ぼす影響の強さである.その強さはEkman数とよばれる無次元量で示される.本章では,地球ダイナモの特徴を概観し,シミュレーションで実現されたEkman数の漸進という視点からまとめた地球ダイナモシミュレーション研究の成果を紹介する.