著者
宮部 はるか 川島 佳代子
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.253-256, 2013 (Released:2013-12-26)
参考文献数
12
被引用文献数
2

56歳,男性。豆乳摂取後に口腔アレルギー症候群,アナフィラキシー症状を呈し救急搬送された。血清特異的IgE検査でシラカンバ花粉がクラス3,大豆はクラス2であった。prick-to-prick testにて豆乳,豆腐で陽性,またシラカンバの主要抗原であるBet v1が陽性,そのホモログである大豆の主要抗原Glym4が陽性であり,これらの交差反応により発症した豆乳による口腔アレルギー症候群 (oral allergy syndrome; OAS) であると示唆された。豆乳アレルギーの本邦での報告例は全例が花粉症を有しており,豆腐の摂取でアレルギーの既往がない例が多い。また大豆特異的IgE陽性率が低く,診断にはprick-to-prick testが有用である。花粉症の近年の花粉症の増加,健康ブームにより豆乳による口腔アレルギー症候群は今後増加することが予想され,耳鼻咽喉科領域の症状を呈することも多く,注意が必要である。