著者
宿田 幸男
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-47, 1979
被引用文献数
3

日本白色種ウサギから子宮切断術でえられたウサギを, 4種類の人工乳を用いて無菌状態で人工哺乳した。人工乳の組成はTable1のようである。2種類の人工乳に加えたウサギ乳は, 出産7日~25日後の母ウサギから仔ウサギを夜間離しておき, 翌朝人の手で搾乳した後に仔ウサギを同居させることを繰り返えして集められた。人工乳の投与量は, Y (1日の総哺乳量ml) =2.3X+a (1≦X≦14) , Y=32.2+a (15≦X≦25) , Y= (32.2+a) -3.75 (X-25) (26≦X≦34) , (Xは仔ウサギの日令, aは0日令の授乳量) により, 1日2回にわけ34日令まで強制投与された。また, 滅菌市販固型飼料を14日令から自由に摂食させた。<BR>これら無菌ウサギ155匹中130匹が36~40日令まで育成されたので, あらかじめ微生物を定着させることなく, アイソレータからSPF施設に移し育成した。これらウサギの離乳率は給与された人工乳組成によって異なることはなかったが, 体重曲線は無菌・SPF時期を通して, ウサギ母乳を40%混合した人工乳給与群がもっともすぐれていた。ただし, 繁殖性, 体重曲線とも第2世代以後のウサギは人工乳の組成による親ウサギのちがいの影響はあらわれていない。<BR>このような手段によって1973年に確立されたSPFウサギ繁殖集団は現在に至るも<I>Past.p neumotropica, Bord. bronchiseptica, Coccidium (E. perforans, E. magma, E. stidae) , Encephalitozoon cuniculi, Choriptes cuniculi, Psorptes communis</I>などの汚染を受けることなく維持されている。<BR>なお, 本報告の要旨は日本実験動物研究会第8回研究発表会 (1973年10月, 静岡市) において報告した。