著者
岩村 康子 富士見 ユキオ 石川 俊男
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1034-1046, 2012-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

「主体の成長モデル」作成の背景:筆者らは「病態水準」と「心身医学的療法の5段階」と「M. Mahlerの発達モデル」は,「主体の成長度」を測る異なる物差しであるという見方を提案する.筆者らは心身相関を扱う治療者が,患者の病態水準や発達段階に合った介入をしやすくするため,三者を統合した包括的な治療過程モデル「主体の成長モデル」を作成した.この包括的なパラダイムに照らして妥当な治療は,三者中一つのみに照らして妥当な治療よりも効果的であることが期待された.経過中に疼痛発作が消失した症例の分析を通してこの点を検証した,ケース・スタディ:筆者らの治療が有効だった期間の治療内容は「主体の成長モデル」に照らして妥当であると考えられ,三者中一つのみに照らして妥当な仮想の介入よりも,効果的であると考えられた.対照的に筆者らの治療が無効だった期間では「主体の成長モデル」に照らして妥当な介入が行われていなかった.