- 著者
-
富崎 隆
- 出版者
- 日本選挙学会
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.5-21, 2018 (Released:2021-07-16)
- 参考文献数
- 16
2016年6月23日に実施されたEU離脱を問う国民投票は,離脱勝利という結果を得た。本稿は,この歴史的な結果をもたらした有権者の民意と投票行動について,BES (British Election Study)の世論調査データを使用し,データをできるだけ豊富な形で紹介すると共に,国民投票がこの結果に至った要因について分析を試みる。社会的属性,経済・移民・主権問題といった争点,政治不信,ナショナリズム,メディア接触,政治指導者評価等の規定要因について個別に検討した上で,それらの要因を包括的に含んだ多変量モデルを構築する。次に,離脱派勝利には,異なる有権者像をもつ3つの底流があったとする仮説を提示し,実証結果を示す。