著者
富崎 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.5-21, 2018 (Released:2021-07-16)
参考文献数
16

2016年6月23日に実施されたEU離脱を問う国民投票は,離脱勝利という結果を得た。本稿は,この歴史的な結果をもたらした有権者の民意と投票行動について,BES (British Election Study)の世論調査データを使用し,データをできるだけ豊富な形で紹介すると共に,国民投票がこの結果に至った要因について分析を試みる。社会的属性,経済・移民・主権問題といった争点,政治不信,ナショナリズム,メディア接触,政治指導者評価等の規定要因について個別に検討した上で,それらの要因を包括的に含んだ多変量モデルを構築する。次に,離脱派勝利には,異なる有権者像をもつ3つの底流があったとする仮説を提示し,実証結果を示す。
著者
富崎 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.18, pp.58-77,255, 2003

本稿は2001年イギリス総選挙の投票行動を,British Election Study 2001年調査の生データ資料を使用して分折した。その際,投票行動の一般モデルから予測できる要因をできる限り幅広く取り上げた。多変量解析の結果,以下の点が明らかになった。(1)社会的属性特に職業階級は以前程の規定力を有しない。(2)政党帰属意識の規定力はモデル上有意である。(3)首相•党首評価,最重要争点への対応評価は保守•労働•自民党への投票に,経済危機対応能力評価は2大政党への投票に,階級•強い政党帰属意識とは独立に連関関係を有し,経済業績投票,保守党の政策ポジション失敗•労働党の中道化戦略の成功の影響も概ね確認できる。戦後最低となった投票参加を規定する多変量解析では,年齢•選挙関心•投票義務感•投票経験頻度•政党帰属意識強度•党首評価度が影響を与えるモデルが選択され,労働党勝利の予想が選挙関心と投票率を低めた可能性が指摘できる。
著者
富崎 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.58-77,255, 2003-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
12

本稿は2001年イギリス総選挙の投票行動を,British Election Study 2001年調査の生データ資料を使用して分折した。その際,投票行動の一般モデルから予測できる要因をできる限り幅広く取り上げた。多変量解析の結果,以下の点が明らかになった。(1)社会的属性特に職業階級は以前程の規定力を有しない。(2)政党帰属意識の規定力はモデル上有意である。(3)首相•党首評価,最重要争点への対応評価は保守•労働•自民党への投票に,経済危機対応能力評価は2大政党への投票に,階級•強い政党帰属意識とは独立に連関関係を有し,経済業績投票,保守党の政策ポジション失敗•労働党の中道化戦略の成功の影響も概ね確認できる。戦後最低となった投票参加を規定する多変量解析では,年齢•選挙関心•投票義務感•投票経験頻度•政党帰属意識強度•党首評価度が影響を与えるモデルが選択され,労働党勝利の予想が選挙関心と投票率を低めた可能性が指摘できる。