著者
富永 恭和
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1459-1464, 2009-12-01
参考文献数
2

においは臭・匂と感覚の影響が大きく100人100様であり,色々な研究からも個人差の大きい器官を有している事が証明されている。<BR>近年,臭気苦情の発生は大きな様変わりを見せている。昭和40年代は畜産等第1次産業を中心に苦情の発生が多かったが,住宅地近辺からの移動により苦情は減少に転じた。そして第2次産業の公害対策(騒音・振動・水質等)が進むにつれ,臭気問題が表面化する。住民の移動(マンション・住宅街の造成)による工場周辺を囲むような街づくりが新たな苦情を起こしていることも要因の一つであると考える。第3次産業といわれるサービス業からの苦情対策は現状の悪臭防止法では追いきれない部分があり今後の課題になっている。<BR>本報では,嗅覚の仕組みと特性,悪臭防止法の制定から改正にいたる流れ,三点比較式臭袋法による臭気の数値化(臭気指数)とパネラー(三点比較式臭袋法被験者)選定による資格,更には紙パルプ及び他分野の発生臭気と対策,環境省の薦める感覚環境の街づくりといったにおいを利用した取組み等を報告する。