著者
斉藤 真二 寺前 紀夫 田中 誠之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.9, pp.1363-1366, 1980-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
5

高速液体ク採マトグラフ(LC)にレーザーラマン分光光度計をオンライン接続した測定系(LC-Raman)を新たに開発し, 共鳴ラマン効果を示す物質に対するその有用性について検討を行なった結果,このLC-Raman法が高感度であり,かつ高度の選択性を併わせもつ新しい検出方法であることが判明した。メタノールを移動相とする逆相クロマトグラフから溶出する種々の置換基をもつ4-ジメチルアミノアゾベンゼン誘導体の検出を,発振波長488nm,出力200 mWのAr+レーザーを励起光源として1406cm-1のラマン散乱光を連続的に測定し,クロマトグラムを記録することにより行なった。2'-クロロ-4-ジメチルアミノアゾベンゼンについて検量線を作成したところ, 260ng/μl付近までの範囲において原点を通る良好な直線が得られ,また,この方法によりng単位の検出を行なうことができた。さらに, 対象とする化合物の保持時間で移動相の流れをいったん止め.共鳴ラマンスペクトルを測定し,おのおのの化合物の示す特徴的なラマン線に着目することにより,逆相クロマトグラフィーでは分離されずに溶出し, また, 多波長吸光度検出法でも区別することのできない2'-クロロ-4-ジメチルアミノアゾベンゼンと3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼンの個々の検出を行なうことができた。
著者
西岡 利勝 寺前 紀夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.723-726, 1991-11-05
被引用文献数
2 1

異種高分子同士による塗装界面付近におけるデプスプロフィルを顕微赤外分光法により観測する方法を開発し, 塗装界面の接着機構を明らかにした.この方法は, 塗装試料からウルトラミクロトームで厚さ10μmの切片を切り出し, 顕微赤外装置により塗装界面付近のデプスプロフィルを測定するものである.測定にはオートマップステージ付き顕微赤外装置を用い, 塗装界面付近を5×70μmのアパーチャーサイズで, 2μmステップにて測定を行った.本法により, ポリウレタンとポリプロピレン/エチレンプロピレンゴム(PP組成物)との塗装界面付近のデプスプロフィルを調べた.ポリウレタンとPP組成物との塗装界面付近で数十μmにわたる混合相が観測された.混合相の形成が塗膜の接着に寄与していると推定した.PP組成物表面の洗浄方法の違いにより, 混合相の厚さが異なることが分かった.