著者
寺田 恵理 保崎 則雄
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.145-148, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究は,タイプすることが増えたデジタル社会において,手で文字を書くこと,また,手書き文字がどのように認識されているか明らかにするものである.デジタルネイティブ世代の大学生,通信教育課程の社会人学生,書家を対象に質問紙調査を行った.その結果,「①誠意の伝達,②情動的印象の伝達,③整斉さの効果の認識,④手間のかかるもの」の4因子が抽出された.つまり,手書きに対して,誠意や情動的印象を効果的に伝えるという価値を見出し,その価値判断には字の整斉さが重要であること,その一方で,手間がかかるものと認識されていることが明らかになった.この認識には,手で書くことの好き嫌いや自信が影響することが示唆された.