著者
奥村 智志 小久保 知由起
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.41-49, 2023 (Released:2023-05-24)
参考文献数
16

本研究は、精神科看護師の研究成果活用に対する意識の影響要因を明らかにすることを目的とした。日本全国の精神科医療機関に勤務する看護師を対象に、無記名自記式質問紙調査を行い、協力が得られた82施設の精神科看護師4,774 名に質問紙を配布し、2,999名の分析対象者を確保した。重回帰分析(Stepwise法)の結果、職位や教育背景に関わらず、看護師が高頻度で文献を閲読し、精神科看護実践力が高く、論文投稿経験を有する場合に正の影響を与え、精神科経験年数が長い場合に負の影響を与える可能性が示唆された。また、組織風土として強制的な風潮がなく、看護師の自律性に基づく合理的な組織管理が整備されていることが、研究成果活用への意識を高める環境的条件であることが示唆された。組織として文献や研究に親しめる支援整備や自由闊達な雰囲気を醸成することで、看護師の実践力向上の意欲が引き出され、研究成果活用の意識が触発されると考える。