著者
小佐野 圭
雑誌
芸術研究:玉川大学芸術学部研究紀要 (ISSN:18816517)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.29-38, 2014-03-31

本稿は2013年10月22日に開催された釜山における「日韓親善交流のための演奏会研究報告」である。日本におけるピアノデュオ協会と韓国・釜山のピアノデュオ協会は、20年前から親密な関係を維持しており、私たちはピアノデュオの日本代表として招聘を受けた。演奏会においてはプーランク、ブラームス、ベネット、そしてガーシュウィンの作品を演奏した。本文は主にブラームスのピアノ五重奏曲と二台ピアノのためのソナタを比較研究し、2つの作品の共通性と相違性を考察した。ブラームスがどのようにピアノの譜面を弦楽器に書き直したかに焦点をあて、二台ピアノによる演奏法を探った。ピアニストとしての視点から、実際にこの2つの作品を演奏する上でどのようなテクニック(演奏法)が求められるのかを探求した。具体的にはアンサンブルとしての技術的な奏法と二台ピアノならではの演奏効果を表現する奏法が必要となる。それらを克服するためにはピアノの減衰楽器である特性と弦楽器のボウイングを認識することが重要であることを明らかにした。いかに弦楽器的効果を取り入れながらピアノ表現を求めるかが鍵となる。二台ピアノ作品を演奏するピアニスト、あるいは学生達の指針となれば幸いである。