著者
小倉 しおり
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.467-480, 1983-12-31

従来から用いられてきた各種の血痕予備試験法は,必ずしも鋭敏度と特異性が平行しているとは限らず,むしろ表裏一体となっているようである。私は今回 MBTH 試薬を用いて,両者共に利点とする新しい血痕予備試験の開発を試みた。その結果,第1試薬としては MBTH と組み合わせた53種類の試薬の中から,2-Amino-4-chlorophenol と o-Toluidine の2種現について,発色(赤紫,紫),鋭敏度(26000倍),偽陽性数(3)といずれも優れていた。組成は第1試薬として,0.8%MBTH水溶液と同濃度の前記2種の試薬各々との等量混合から成るもので,呈色反応は第1試薬の次に第2試薬(3%HP溶液)を各々1滴滴下する2液法で,1分以内に判定した。また予備試験施行後の血痕について,本試験・種属試験および凝集素吸収試験などを行なったところ,本法の2種類の試薬についてはほとんど影響がないことが認められ,血痕予備試験の試薬として利用価値の高いものであることが証明された。