著者
安田 知弘 小原 周
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.113-117, 2012-06-30 (Released:2015-10-02)
参考文献数
5

目的:MMP-3値は滑膜局所の炎症を直接反映していると考えられる.しかし実際の臨床における活動性の判断の際食い違いが生じることを経験する.今回我々は,MMP-3値の臨床的特徴を調査した. 対象・方法:通院加療中のRA患者46例を対象とし,DAS28-CRP,CRP,疼痛関節数,腫脹関節数,VASを測定しMMP-3値との関係を調査した.調査1としてCRP,疼痛関節数,腫脹関節数,DAS28-CRP,VAS,mHAQの各項目とMMP-3値の相関を,調査2として6ケ月間でのMMP-3値,CRPの変動量を計算後ΔMMP-3,ΔCPRとしその変動量の関係を,調査3としてMMP-3値の低値群と高値群に分けて年齢,Cr,CRP,疼痛関節数,腫脹関節数,DAS28,VAS,MTX(投与量),プレドニゾロン(投与量)の各項目との関係を,調査4として,Steinblocker StageとMMP-3値との関係を調査した. 結果:調査1:相関係数0.4以上は腫脹関節数のみであった.調査2:6カ月間のMMP-3値の変動量とCPR の変動量との間に相関関係を認めなかった.調査3:疼痛関節数,腫脹関節数,DAS-28(CRP),VAS,プレドニゾロン投与量は,高MMP-3群が低MMP-3群より高かった.年齢,Cr,CRP,MTX 投与量は2群間に有意差を認めなかった.調査4:Steinblocker StageとMMP-3値の間に有意差を認めなかった. 結論:MMP-3値とCRP,疼痛関節数,腫脹関節数,DAS28-CRPが相関を認めた.相関係数0.4以上での相関は腫脹関節数のみであった.6か月間のMMP-3値とCRPの変動量は相関を認めなかった.また,DAS28-CRP,VAS,疼痛関節数,腫脹関節数は高MMP-3群が有意に高値であった.CRPとの有意差は認めていなかった.臨床上のMMP-3値とDAS28-CRP,CRPの相関関係は強くなかった.