著者
荘司 洋三 小原 慶 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.460, pp.65-70, 2003-11-21
参考文献数
5

60GHz帯などのミリ波帯は、マイクロ波帯と比較して遠方まで到達しない反面極めて広帯域な周波数幅を利用できるため、比較的近距離での高速データを実現する周波数帯として有望である。しかしながら、ミリ波帯では高安定な発振器の実現が技術的に困難なことから、高安定な信号伝送やシステムの低コスト化を実現することが難しかった。これらの問題を解決するため筆者らはミリ波自己ヘテロダイン伝送方式を提案してその有効性を実証してきたが、従来の伝送方式と比較すると受信感度が劣化するという問題があった。本報告では、受信回路をアレー化することで、ミリ波自己ヘテロダイン伝送方式の利点を損なうことなく、また受信可能な信号到来方向の指向性についても殆ど影響を与えることなく受信感度のみを改善可能であることを示す。またミリ波帯通信特有の伝搬特性に起因したフェージング対策としても有効であることを示す。