著者
小原 由美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.8, 2002 (Released:2002-04-01)
参考文献数
40

ニコルソン・ベイカー著『ダブル・フォールド』は,議会図書館はじめ多くの米国の図書館が,19世紀後半以降の新聞原紙をマイクロフィルム化後廃棄していることに端を発し,図書館の資料保存政策全般を痛烈に批判した書である。マイクロフィルム化・デジタル化よりも現物資料の保存を最優先するよう訴えるベイカーに対し,図書館側は,資料の内容保存と利用者の利便性を考えると,媒体変換は必須であると反論した。その一方,図書館情報資源振興財団(CLIR)は「図書館資料の現物保存タスクフォース」を公表して現物資料の重要性を見直す提言を行った。日本でも書庫不足により現物資料廃棄を行わざるをえない状況にあるが,国立大学図書館協会や医学図書館協会では,廃棄基準の設定や資料の共同収集・分担保存に取り組みつつ,国立保存図書館の設立を模索している。
著者
小原 由美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.8-21, 2002

ニコルソン・ベイカー著『ダブル・フォールド』は,議会図書館はじめ多くの米国の図書館が,19世紀後半以降の新聞原紙をマイクロフィルム化後廃棄していることに端を発し,図書館の資料保存政策全般を痛烈に批判した書である。マイクロフィルム化・デジタル化よりも現物資料の保存を最優先するよう訴えるベイカーに対し,図書館側は,資料の内容保存と利用者の利便性を考えると,媒体変換は必須であると反論した。その一方,図書館情報資源振興財団(CLIR)は「図書館資料の現物保存タスクフォース」を公表して現物資料の重要性を見直す提言を行った。日本でも書庫不足により現物資料廃棄を行わざるをえない状況にあるが,国立大学図書館協会や医学図書館協会では,廃棄基準の設定や資料の共同収集・分担保存に取り組みつつ,国立保存図書館の設立を模索している。
著者
小原 由美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.806-816, 2006

2001年4月の情報公開法の施行と国立公文書館法の一部改正により,国の行政機関から国立公文書館への新しい公文書移管制度が始まった。しかし移管は円滑に進んでいるとは言えず,現在内閣府に置かれた「公文書等の適切な管理,保存及び利用に関する懇談会」の報告書の提言に基づき,改革が進められている。公文書等の移管は各行政機関と内閣総理大臣の合意に基づいて行われる。国立公文書館は移管についての意見を内閣総理大臣に提出できるが,意見照会しても必ずしも移管に結びつかない。諸外国の例に学びながら,政府機能の把握,公文書の廃棄権限,現用・非現用文書の概念の見直し,文書管理法等の検討が必要である。