著者
上田 陽平 小原 盛幹
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.17, 2020-01-29

Webアプリケーション開発においては,動的コンパイル言語やスクリプト言語が実装言語として選択されることが多い.これは,静的コンパイル言語に比べてデプロイに必要な時間が短く,新しい機能やバグ修正を迅速にリリースでき,開発生産性の向上に寄与するためと考えられる.しかし,近年のコンテナ技術や継続的インテグレーション・継続的デリバリーの普及により,静的コンパイル言語を用いたWebアプリケーションの開発においても動的コンパイル言語やスクリプト言語と遜色ない生産性を実現する環境が整いつつある.本発表では,静的コンパイル言語のGoと動的コンパイル言語のJavaおよびJavaScriptで実装されたWebアプリケーションの性能評価結果を報告する.WebアプリケーションであるAcme Airベンチマークの各言語での実装を使用して性能評価を行い,Goによる実装はJavaScriptに対して約1.6倍,Javaに対して約1.8倍のスループットを達成することを確認した.性能プロファイルの分析によると,GoのWebフレームワークはJavaのWebフレームワークに比べてREST型Webリクエストの処理に必要なコードフットプリントが少なく,また,動的型付けのJavaScriptと比較して静的型付けのGoはランタイム検査のオーバヘッドが少ないことが判明した.GoはJavaおよびJavaScriptに対して優位な性能を示しており,Webアプリケーションにおいても静的コンパイル言語の普及が期待される.

1 0 0 0 OA PC - Smalltalk

著者
鈴木則久 小原盛幹 中島淳
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.3(1985-OS-027), pp.1-7, 1985-05-10

Smalltalk-80がパソコンの上で動き、かつ性能がすばらしければ、どれほど使用価値が上がるであろうかとは前々から考えていた。現在Smalltalkが動くコンピュータで一番手頃なのはTektronix4404であるが、これも満足な速度で動くようにするには700万円程度かけなければならない。しかしパソコンは40万程度で買えるし、ハードディスク付きでも70万位になる。値段が10分の1になると今まで考えていなかったような分野でも使えるようになる。 この目標を達成する為にまずMC68000上で動く移植の容易なSmalltalkの基本システムを作った。[1].しかし現在主流のパソコンは8086を使っている。しかし8086上にSmalltalkの様な大容量のヒープを必要とするシステムを実現するのは大変むずかしい。そこでこのパソコン上にSmalltalkを実現しようという話はなかなか実現しなかった。 一方MC68000上に能率のよいSmalltalkをのせる仕事は着々と進んでいき、1984年暮には「菊32V」という大変高性能なシステムが完成した。また、NEC PC9801用にMC68000ボードが売り出された。これは不完全な形ながらSmalltalkをパソコンの上にのせる目的に一歩近づけた。しかしながら記憶容量はまだ足りなかった。そこで自作で主記憶を作り、「菊32V」を移植して、パソコン上のSmalltalkが初めて完成した。