著者
小口 好昭
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-110, 2017

マクロ会計は,1940年から41年にかけてイギリスのケンブリッジ学派によって形成されたことを明らかにした。本稿は,これを会計学におけるケインズ革命と呼んでいる。同学派は,ケインズに始まりストーンに継承されて,マクロ会計の国際基準化に大きな貢献を果たした。ケンブリッジ学派については,ティリー(Tily, 2009)によるマクロ会計発展3 段階説と,アメリカ・ケインジアンであるパティンキン(Patinkin, 1976)の統計革命先行説を取り上げる。他方,フリッシュからオークルストに継承されたオスロ学派については,Aukrust(1994)のスカンジナビアにおけるマクロ会計発展5 段階説に依拠しながら,マクロ会計の公理化という独自の理論を生みだしたことを強調した。最後に,現代会計学は,両学派からミクロ会計とマクロ会計の同型性論という視点を継承し,さまざまな会計イノベーションを起こしつつあることを指摘した。