著者
小坂 悠登 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.15, pp.1-7, 2019-03-01

本研究では従来チェスや将棋.オセロといった二人完全情報確定零和ゲームで行われてきたゲームAIを利用した棋力推定のアプローチを囲碁に応用する手法について検討した.他のゲームと囲碁AIの大きな違いはベースとなっているアルゴリズムがミニマックス探索ではなく,モンテカルロ木探索(MCTS)である点である.そのため,従来の手法で用いられてきたミニマックス探索でいうところの「評価値」の代わりに,本研究ではMCTSが導き出す局面評価に相当する概念である「勝率」という指標を用いることにした.棋譜の評価においては,MCTSのみ用いた囲碁プログラムと,Alpha Goの探索手法に倣ってDNN(Deep Neural Network)を用いた囲碁プラグラムの両者を用いて実験結果の比較検証を行った.さらに,これらの手法を合議で組み合わせることによって,さらに飛躍的に棋力推定の精度を高めることができた.