著者
野瀬 彰大 深川 大路
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2011-GI-25, no.4, pp.1-8, 2011-02-26

本研究では,トレーディングカードゲームにおけるカードのシャッフルを扱う.まず,シミュレーションプログラムを用いてシャッフル手法について分析し,理想的なシャッフル手法の提案を目的とする.また,シャッフル手法の分析を行うために,シャッフルの結果を視覚的に表示する方法を提案する.分析の結果,各シャッフル手法の特徴が分かった.また,制限時間の長短に応じて適切なシャッフル手法が変わる可能性が示唆された.複数のシャッフル手法の組合せも行い,同じ組合せであっても実行順序が結果に大きな影響を与えることを実験的に示した.
著者
田中 哲朗
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.1-8, 2009-06-19
参考文献数
4
被引用文献数
1

「どうぶつしょうぎ」¹⁾ は 2008 年に女流棋士の北尾まどか初段によって考案されたボードゲームである.将棋に類似しているが,将棋と比べて非常に簡潔なルールになっている.「どうぶつしょうぎ」 は二人完全情報零和ゲームであり,すべての局面の理論値 (勝ち,負け,引き分けのいずれか) が決定可能である.本論文では,後退解析 (Retrograde analysis) をベースにしたプログラムを用いて初期局面から到達可能なすべての局面の理論値を求め,初期局面が後手必勝であり勝ちに要する手数が 78 手であるという結果を得た.また,「敵陣へのひよこ打ち」 が有効である局面が存在することなど,いくつかの興味深い性質を確認することができた."Doubutsu Shogi" is a board game invented in 2008 by a professional shogi player Madoka Kitao. Although "Doubutsu shogi" is similar with shogi, its rule is far simpler than that of shogi. Since "Doubutsu shogi" is a two-player zero-sum game with perfect information, it is possible to determine theoretical values (Win, Lose, Draw) of all positions. In this article, we computed theoretical values of all positions reachable from the initial position, by means of making a program based on retrograde analysis. As a consequence, we confirmed that the theoretical value of the initial position is win by white( the second player ) with 78 moves. We also obtained some interesting results such that there are positions in which "dropping a hiyoko piece on the promote zone" is the only winning move.
著者
野瀬 彰大 深川 大路
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-8, 2011-02-26

本研究では,トレーディングカードゲームにおけるカードのシャッフルを扱う.まず,シミュレーションプログラムを用いてシャッフル手法について分析し,理想的なシャッフル手法の提案を目的とする.また,シャッフル手法の分析を行うために,シャッフルの結果を視覚的に表示する方法を提案する.分析の結果,各シャッフル手法の特徴が分かった.また,制限時間の長短に応じて適切なシャッフル手法が変わる可能性が示唆された.複数のシャッフル手法の組合せも行い,同じ組合せであっても実行順序が結果に大きな影響を与えることを実験的に示した.In this paper, we consider shuffles in trading card games. First we analyze shuffles by computer simulations. The purpose of this study is to develop an ideal shuffle methods. Furthermore, we propose a visualization method for results of the simulation programs. The analyses suggest that what matters includes tyoe of shuffles, the time limit, and ordering of the methods.
著者
清 愼一
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2014-GI-31, no.8, pp.1-8, 2014-03-10

人工知能の研究の題材としてゲームをプレイするプログラムが用いられる.日本では将棋と囲碁が題材としてよく取り上げられてきた.本論文は,コンピュータ将棋の初期の歴史についての調査結果の報告である.調査の結果,将棋プログラムのはじめては 1967 年の詰将棋プログラムであることがわかった.
著者
田中 哲朗
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2009-GI-22, no.3, pp.1-8, 2009-06-19

「どうぶつしょうぎ」¹⁾ は 2008 年に女流棋士の北尾まどか初段によって考案されたボードゲームである.将棋に類似しているが,将棋と比べて非常に簡潔なルールになっている.「どうぶつしょうぎ」 は二人完全情報零和ゲームであり,すべての局面の理論値 (勝ち,負け,引き分けのいずれか) が決定可能である.本論文では,後退解析 (Retrograde analysis) をベースにしたプログラムを用いて初期局面から到達可能なすべての局面の理論値を求め,初期局面が後手必勝であり勝ちに要する手数が 78 手であるという結果を得た.また,「敵陣へのひよこ打ち」 が有効である局面が存在することなど,いくつかの興味深い性質を確認することができた.
著者
塩田 雅弘 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2020-GI-44, no.3, pp.1-6, 2020-06-20

本研究では,近年将棋で用いられている評価関数の機械学習の手法を 5 五将棋に適用することで,5 五将棋でもその手法が有効であるかを検証した.具体的には,オープンソースで公開されている「やねうら王」をベースに,この手法を 5 五将棋に応用したプログラムを開発した.その結果,本プログラムは,2020 年 3 月に開催された UEC 杯 5 五将棋大会において,全勝優勝した.また,有力プログラムとの対戦結果をもとにその強さを比較した.
著者
廣瀬 雄一 和賀 正樹 末永 幸平
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2023-GI-49, no.13, pp.1-8, 2023-03-10

将棋 AI は近年目覚ましい成果を上げており,プロ棋士による将棋の研究にも用いられるようになってきている.一方で,将棋 AI の選ぶ指し手については解釈可能性が低いという問題点がある.解釈可能性を向上させることにより,将棋研究における将棋 AI の有用性が向上すると期待される.本研究では,将棋 AI である dlshogi の評価関数の feature attribution に基づく解釈可能性向上手法を提案する.dlshogi は入力特徴量として,各マスにどの駒があるか,どのような利きがあるかなどの,解釈が容易な盤面情報を用いている.本研究では,与えられた指し手にとっての各特徴量の貢献度を数値化する手法を提案する.提案手法は SARFA と呼ばれる各特徴量の関連度と特異度から貢献度を算出する手法の拡張となっている.本手法をいくつかの棋譜に適用した.本論文ではその有用性と改善点について議論する.
著者
竹内 聖悟
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-33, no.14, pp.1-4, 2015-02-26

強さの指標となるレーティングについて,対戦結果からの計算以外にも棋譜とプログラムの読み筋から計算する手法が研究されてきた.これらの手法ではプログラムに探索させて計算するため,計算コストがかかることが問題であった.本稿では,コンピュータ将棋対局場 Floodgate で指された棋譜を利用して悪手の計算を行う.Floodgate の棋譜には対局したプログラムによって評価値と最善手がコメントとして付記されており,これを利用することで計算コストを削減する.山下により提案された悪手率や好手率を Floodgate の棋譜向けに変更して実験を行ったがレーティングとの相関はあまりなかった.さらに,評価値に関する条件の緩和や悪手率の計算方法の変更を行ったところ,レーティングとの間に相関のある結果が得られた.
著者
鳥海不二夫 稲葉通将 大澤博隆 片上大輔 篠田孝祐 松原仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-1, 2014-06-28

不完全情報コミュニケーションゲームである「人狼」を題材にした研究プロジェクトの概要を紹介し,ゲーム情報学という観点からこのプロジェクトの将来について展望していく.
著者
馬場 匠 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.13, pp.1-8, 2019-03-01

本研究では,なるべく少ない棋譜から将棋プレイヤの棋力を推定する手法を提案する.先行研究の将棋AIを用いた棋力推定の手法では20局程度の対戦を必要としていた.これは,分析対象とする局面の条件に「序盤や終盤の除外」などの制約があるため,1局あたりの分析局面数が少なることが原因である.本研究では,どのような局面が棋力推定に有効に働くのかを詳細に調べた.その結果,接戦の局面ほど棋力推定に適していることが判明した.そこで,接待将棋AIを用いて接戦の局面を多く作ることにより,少ない対局数から棋力推定をする手法を提案した.この手法により,3~4局程度の対戦でかなり正確に棋力推定ができることを確認した.
著者
福井 昌則 中村 駿佑 宮寺 良平
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-33, no.15, pp.1-5, 2015-02-26

本稿では,不等式を満たすチョコレートゲームの必勝法解析について述べる.チョコレートゲームは,Robin が提案したゲームであり,組み合わせゲームである CHOMP の変種であるが,CHOMP と異なるのは,必勝法が計算できるタイプが多数存在することである.長方形のチョコレートは,伝統的な石取りゲームと数学的に同値であるが,私達が研究するチョコレートゲームは,座標間に不等式の関係が成立しているものであり,そのチョコレートに対してグランディ数を求める公式を導出した.本稿では,私達の研究しているチョコレートゲームの説明,数学的背景,そしてモバイル端末向けに作成したチョコレートゲームについて述べる.
著者
小場隆行 中所武司
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.1-6, 2011-02-26

数独とは,ナンバープレイスとも呼ばれるペンシルパズルの一種である.長年,この数独に対して数学・情報科学等の様々な分野から研究がなされ,近年では高性能な自動解法プログラムや問題の自動生成プログラムなどが作られるようになっている.本研究では,その中でも数独の研究分野の一つである問題の難易度判定の手法に関して述べるものである.既存の数独の難易度判定アプリケーションは,問題の難易度判定の基準を予め定義している難易度埋め込み型であるのに対し,本研究ではユーザに問題の難易度判定の基準の定義を委ねる難易度定義型のアプリケーションを提案し,前述した難易度埋め込み型アプリケーションとの比較検証を行う.比較検討は,一般の書店で販売されているパズル誌二誌を使用し,難易度埋め込み型と難易度定義型における難易度判定の精度を比較した結果,難易度定義型を採用したことによって,判定結果のばらつきを減らすことができた.Recently, Sudoku solvers and Sudoku generators have been studied in the fields of mathematics and information science. In this paper, a method of difficulty level ranking by using application programs is described. Most of conventional applications for difficulty level ranking have given the fixed definition of the difficulty level criteria. This paper proposes a new method in which the difficulty level criteria are defined by users. An application supporting this method is developed and used for feasibility studies with two articles on difficulty level ranking in the popular journals. As a result, it is confirmed that the new method reduces dispersion of difficulty level ranking by using application programs.
著者
佐藤 諒 西村 夏夫 保木 邦仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-6, 2014-03-10

本研究では,シャンテン数が下がるような牌を有効牌とし,数手先の有効牌を数え上げることによって牌効率を向上させた麻雀 AI の性能を評価することを目的とした.簡単のために副露や降りをしない面前全ツッパに麻雀AIの戦略を制限した.性能評価は,インターネット雀荘 「東風荘」 で人間のプレイヤーと対局させ,安定レートや他の統計情報を利用して行った.In this work, we analyze the performance of Mahjong AI programs that count the number of effective legal moves. Here, an effective legal move decreases Shanten numbers (the number of tiles away from tempai). For the sake of simplicity, we limit the strategy of AI programs to Menzen-Zentsupa strategy (no open melds by calling and no defense by discarding safe tiles). The performance is measured in the internet Mahjong server, Tonpu-So, with human players and it is analyzed in terms of rating and other statistic information.
著者
清 愼一
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2013-GI-29, no.9, pp.1-8, 2013-02-25

日本におけるコンピュータ囲碁の初期の歴史について調査したので,ここに報告する.囲碁プログラムのはじめては1968年の「碁とコンピュータの会」で実演された詰碁プログラムであることがわかった.
著者
西野 順二
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-33, no.18, pp.1-5, 2015-02-26

多人数不完全情報ゲームの人狼においてその自然な勝率を算出した.人狼は,代表的な会話にもとづくゲームである.このため,推論機能を持つ人工知能エージェントによる,会話と信頼創出のテストベッドとして研究されている.村人の人数に対して人狼側が有利であり,ゲームが拮抗する人数は全体の平方根に従うことが明らかになっている.本研究はこれに対し,人狼がより自然な戦略を取った場合に人狼側の有利さがさらに高いことを示した.勝率を算出し示すことで,人工エージェントの能力が有意に高いことを測る具体的な基準値を示した.
著者
大森 瑛智 井上 真郷
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2012-GI-28, no.5, pp.1-6, 2012-07-06

Minesweeper は一人用のパズルゲームであり,プレイヤーが全ての情報を得られる訳ではないという,不完全情報ゲームである.つまり,地雷が設置されていないと分かる安全なマスが常に存在する訳ではなく,勝利できるか否かは運によるところが大きい.ルールが単純であり,多くの人に親しまれている一方,最適戦略,および達成可能な勝率の上限は未だに分かっていない.これは,地雷の有無を判断するのに,難しい場面では,地雷が設置されていたとして矛盾しない全パターンを列挙する必要がある,つまり NP 完全問題となっていることに由来する.我々は本研究で, 1) 二体探索法により,問題が簡単な場合に高速に安全なマスを発見する方法, 2) 地雷設置可能な全パターンを効率よく列挙し,地雷設置確率を算出する方法, および3) 安全なマスがなく,地雷設置確率が最小のマスが複数ある場合の選択方法,の三つを組み合わせた手法を開発したので提案する.本手法は,16×30 マス,地雷 99 個の標準ゲームで勝率 49.4% を達成できた.
著者
三塩 武徳 小谷 善行
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2014-GI-31, no.4, pp.1-6, 2014-03-10

ゲームの不完全情報の推定を行うアルゴリズム Using Past Playout(UPP) を提案する.UPP はモンテカルロ法において過去のシミュレーション結果のうち現在局面に至るものを取り出し,仮定した情報の間の勝率を比較する.相手側の勝率が高い部分は実際の局面と等しい可能性が高い.これを使って不完全情報の推定を行う.アレックス・ランドルフ (Alex Randolph) [1] によって発表された二人零和確定不完全情報ゲームである 「ガイスター」 において UPP を用いたプログラムと既存手法の猪突戦法,および通常のモンテカルロ法とで対局を行った.結果,猪突戦法に対しては思考時間 0.25 秒で 94%の勝率,モンテカルロ法との対局ではお互いの思考時間 1 秒で 55%の勝率を挙げた.これらの結果より,ガイスターにおける UPP の有効性を示した.
著者
小谷 善行
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2009-GI-22, no.8, pp.1-8, 2009-06-19

古来からある計算パズルの一つである虫食い算について,解記述の候補における制約を用いて虫食い算パズルを非探索的に解く方法を示した.それに最小分岐を行う探索アルゴリズムを付加することにより,普通の問題がみな解ける効率的な虫食い算解法アルゴリズムを作った.さらにそれを用いて虫食い算を作成するシステムを設計し,巨大な虫食い算を作った
著者
小松 智希 成澤 和志 篠原 歩
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-8, 2012-07-06

探索空間が非常に広く,評価関数が作りにくいゲームにおいて行動決定を行う手法にモンテカルロ法があり,囲碁や大貧民などのゲームに対して有効な手法であることがわかってきた.しかし,麻雀のように探索空間全体に対して得点が得られる組み合わせが少ないゲームでは,モンテカルロ法は報酬を得ることができるプレイアウトの回数が少ないため,十分な効果を発揮することができない.本論文では,麻雀におけるモンテカルロ法の非効率性を実験的に検証する.また,プレイアウトにおいて効率的に報酬を得ることができる手法を提案し,モンテカルロ法と比較することで実験的に有効性を示す.Monte Carlo methods have been successfully applied for playing games, and have outperformed previous algorithm in such games as Go and Daihinmin. However, as we will experimentally show, it is not very effective for some games like Mahjong, where random simulation can rarely get rewards. Without positive rewards, players have little reason to choose better actions. In this paper, we propose a new algorithm to overcome this difficulty. It virtually simulates many play-outs in each trial simultaneously, so that many of play-outs can get positive rewards, even for this kind of games. We show some preliminary experiments that convinced us that the approach is promising.
著者
澤 宣成 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2011-GI-26, no.3, pp.1-8, 2011-06-24

将棋における棋風を形成する要素に関する統計的分析