著者
小山 佳彦 宇田 明
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.203-209, 1994
被引用文献数
11 20

ステージIVで収穫したつぼみ切りカーネーションの開花環境について, 淡桃色の'ノラ'および赤色の'コーラル'を供試して, 温度, 照度, 開花液のショ糖濃度が開花後の品質に及ぼす影響について検討した.<BR>1.温度を20°, 25°, 30°Cで実験したところ, 温度が高くなるにつれて開花所要日数は短くなり, 品質保持期間が増加したが, 茎の基部に発現した褐変障害も大きくなった. しかし, 開花所要日数と品質保持期間を合計した採花後からの日数に一定の傾向はなかった. 花色は20°, 25°Cで自然の花色に近くなったが,30°CではL値の増加とa, b値の減少がみられ, 淡い花色になった.<BR>2.照度を0.2,1,2,3klx連続照明で実験したところ, 花茎, 品質保持期間などには影響しなかったが, 花色に影響があらわれ, 'ノラ'が0.2~1klxの低照度で, 'コーラル'が2~3klxの高照度で自然の花色に近くなった.<BR>3.開花液のショ糖濃度が高くなるにつれて花径および品質保持期間が増大したが, 7%以上で葉とがく筒裂片先端部にしおれがみられた. また, ショ糖濃度が高くなると, L値が減少し, a, b値が増加し, 濃い花色になったが, 品種本来の花色に最も近かったのは, 3%区であった.<BR>4.以上のことより, つぼみ切りカーネーションを開花させるための最適環境は, 花色を中心に考えると,温度は20°~25°C, 照度は淡桃色系品種'ノラ'は0.2~1klx, 赤色系品種の'コーラル'は2~3klx, 開花液のショ糖濃度は3%であった.
著者
小山 佳彦 宇田 明
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.211-217, 1994
被引用文献数
4 4

母の日の数日前に高品質のカーネーションを出荷するために, つぼみ段階で採花した品種'コーラル'の貯蔵性, STS処理, 開花室, 市販開花液について検討した.<BR>1.品種'コーラル'の貯蔵限界は, 開花所要日数を考慮すると, 12週間であった.<BR>2.5月上旬の温室内平均温度は約20°Cで, 1°Cで4週間貯蔵したつぼみ切り切り花の開花環境条件に適しており, 切り花の花色は自然開花のものに近くなった.<BR>3.貯蔵後のSTS処理 (1mM, 2時間) は, 開花後の品質保持期間を向上させた.<BR>4.貯蔵後のSTSの処理と開花室としての温室および市販開花液の利用により, 高需要期である母の日の数日前に高品質の切り花が得られた.