著者
永田 豊 小山 俊平 長坂 和彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.245-249, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
22
被引用文献数
2

吃逆はときに難治性となる。我々は棘下筋の硬結(寺澤ポイント)への鍼施術が有効であった吃逆症例を2例経験したため報告する。症例1は85歳の男性で,細菌性胸膜炎の入院症例。吃逆が11日間持続していた。薬物治療が部分的に有効であったが、吃逆は消失しなかった。寺澤ポイントへの置鍼で翌日に吃逆が消失した。症例2は68歳の男性で,特に契機なく吃逆が発症した。吃逆が前日から持続し,夜間睡眠障害を経験した。寺澤ポイントへの刺鍼と電気温鍼器による加温で吃逆が施術中に消失し,再発せずに経過した。吃逆症例に対して,寺澤ポイントへの鍼施術は治療法の選択肢のひとつとなり,迅速な効果が期待できる。