著者
天木 嘉清 小山 直四 池内 旬子
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

筋弛緩薬ブロックからの離脱には弛緩薬濃度、アセチルコリン濃度が関与する。このアセチルコリンの濃度を高める為に、神経にテタヌス刺激を与え神経の末端からのアセチルコリンの放出を促す方法がある。全身の神経に刺激を与えるのは不可能に近いが呼吸筋のみ限定するなら、respiratory driveという、生体には持って生まれた現象がある。高炭酸ガス血症群(炭酸ガス分圧45〜55mmHg)では100HZ前後のテタヌス刺激が中枢より横隔神経に伝達されているのが観察された。この研究はこの点に光を当ててみた。高炭酸ガス血症では換気を引き起こす為に、中枢からの横隔神経などを介して遠心性の発射活動がある。これは正にテタヌス刺激であり、アセチルコリンの放出が起こる。今までに、この現象と非脱分極性筋弛緩薬ブロック拮抗現象とを結び付けた研究は見あたらないが、理論的には生体が有するアセチルコリン放出促進現象であり、非脱分極性筋弛緩薬ブロックからの離脱に関して大きな役目を果たしている可能性が高い。我々の研究では左右の横隔膜から、別々にtwitch responcesを取ることに成功し、respiratory driveがブロック離脱に関与していることが実証された。従来ブロック離脱には抗コリンエステラーゼの作用に依存していたが、生体に有する中枢からのrespiratory driveもまたブロック離脱におおいに関与していること証明され、臨床的にもこの研究は有用の情報を与えてくれた研究である。