著者
金子 幸司 村上 馨 西村 格 杉信 賢一 小島 昌也
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.179-188, 1967-10-20

本試験は場所および草令を異にした採種によりアカクローバ品種の諸形質がどのように変化するかを調査した試験であるが,その結果を要約すると次のとおりである。1.アメリカ,カリフォルニア州で冬,(1月)播き2年目採種したものは道内春播き2年目採種のものに比べて早生化し,播種初年目および2年目における草勢,草丈および収量などは大であったが,3年目以降になるとその関係はむしろ逆となった。2.アメリカ,オレゴン州およびアイダホ州で春播き2年目採種したものは道内採種のものに比べて生育型構成割合がnon-flowering typeのほうに移動する傾向がみられ,それに応じて開花が若干晩生化したが,収量などについては上記のカリフォリニア州採種のものほど顕著な差は認められなかった。3.道内各地域採種の場合,札幌と上川北部地方で数世代採種しても両者間には諸形質に大きな差異を生じなかったが,日高地方で1世代選抜操作を加えることによってその集団は早生化し,原品種と諸形質を異にする集団を生じた。4.札幌地方で早生種を播種1,2および3年目と異なる草令別に採種をした場合,それらの種子区間にはほとんど形質の変化は認められなかった。本試験の実施にあたりハミドリ種子の御提供を賜わった雪印種苗株式会社上野幌育種場長三浦梧楼氏に深く謝意を表します。