著者
小島 隆寿
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.177-182, 1986
被引用文献数
1

食用油脂である菜種油およびラードを馬鈴薯澱粉およびコーンスターチに対し10-150%添加し, 15%澱粉濃度付近のゲルについて, 膨潤, 糊化の状態, ゲル強度さらに低温保存時の影響について調べ次のことがわかった.<br>1) 馬鈴薯澱粉では, 85℃, 30分の加熱処理で, 油脂添加により膨潤, 糊化が抑制された.<br>2) ゴーンスターチでは, 油脂添加量が10-30%の範囲で, ゲル強度の上昇効果が認められた. 油脂の添加により, 澱粉の膨潤糊化が進んだためと考えられる.<br>3) 油脂添加量が50%を超えると, 両澱粉ともゲル強度は低下した, 油脂の添加量が多くなると, ゲルの構築が阻害され, ゲル強度は弱くなるものと考えられる.<br>以上の知見は, 油脂含量の多い加工食品, たとえばハンバーグ, シュウマイ, ギョウザなどに応用できると考えられる.